鎌田大地がイタリアで感じた違和感 特殊な環境を作る“名物会長”の存在「何も気にしない」
ラツィオ時代の経験を回想
2023-24シーズン限りでイタリア1部セリエAのラツィオを退団した日本代表MF鎌田大地が、スポーツチャンネル「DAZN」の「内田篤人のFOOTBALL TIME」にゲスト出演し、ラツィオのユニフォームの胸スポンサーが入っていない理由に名物会長の存在があると明かした。
サッカークラブにとって、ユニフォームの胸スポンサーは大きな収入源の一つになる。最高峰のクラブでは、年間100億円以上を胸スポンサーだけで得ている場合もある。ほとんどのクラブが胸にスポンサー名を入れてシーズンを戦うが、イタリア1部ラツィオは胸スポンサーなしで戦うシーズンも多い。鎌田の所属した2023-24シーズンもスポンサーは付いていなかったが、そこにはイタリアでも名物会長として知られるラツィオのクラウディオ・ロティート会長の存在があったようだ。
ドイツ1部フランクフルトで長くキャリアを過ごしてきた鎌田は「ラツィオはいろいろ特殊でしたね。ドイツと違って、若手の選手もなかなかいないし。(若い選手を)買って売るっていうことをなかなかしないので。感覚的にも、選手とは絶対に5年契約を結ぶんです。それで3年くらいやって、残り2年になって試合に出ていなければ、普通は(選手を他クラブへ)売るじゃないですか? ラツィオの会長は『いいよ。給料は払うからグラウンドの横を走っておけ』みたいな感じでした」と、契約延長に応じない選手は売却するのではなく、干していたと明かした。
そして「お金も何も気にしないんです。胸スポンサーもないし。給料を払うから走っていればいいよって。だから、僕は(ラツィオと)複数年契約をしたくなかった」と、ロティート会長がお金に執着しないことから選手の売却や胸スポンサーとの契約に積極的ではないと説明した。
また、鎌田は契約内容をメディアにリークされることも不満だったと続ける。「そもそもイタリアでおかしいのは、僕の契約ごととか全部世の中に出るんです。メディアに全部言うんです。僕がそういう特殊な契約をしていたことも、あれが合っているか合っていないかは別として。全部は合っていないですが、ほとんど合っていますよ、内容的に。僕の給料から僕の契約から、全部世に出るんですよ。なんでそんなことするんやろうって」。
MCを務める元日本代表DF内田篤人氏が「勘違いしないでほしいのは、YouTubeとかに誰かの年俸がいくらって出るじゃないですか? あれは全然、合っていないですからね」とフォローを入れたが、鎌田は「イタリアは、合っているんですよ」と笑いながら言い、「イタリアは合っているけど、みんな勘違いしているのはイタリアは税抜き年俸なんですよ。だから、基本的にあれの倍額じゃないですか。ドイツで3ミリオン(300万ユーロ)って出たら3ミリオンだけど、イタリアで3ミリオンって出たら6ミリオンなんです」と、赤裸々に語った。
ラツィオでは長らくセルビア代表MFセルゲイ・ミリンコビッチ=サビッチが在籍していた。移籍市場が開くたびに多額の移籍金のオファーが届いていると報じられていたが、それでも昨シーズンの開幕前にサウジアラビア1部アル・ヒラルへ移籍するまでラツィオに残っていたのは、会長が手放さなかったからだという。鎌田は「ラツィオの会長とナポリの会長はイタリアで超名物会長なんです」と、苦笑していた。
(FOOTBALL ZONE編集部)