J1神戸対京都、異例の“ダブルVAR”介入「受け入れづらい」 JFA審判マネジャー見解

“ダブルVAR”介入にJFAが見解(写真はイメージです)【写真:徳原隆元】
“ダブルVAR”介入にJFAが見解(写真はイメージです)【写真:徳原隆元】

1つの事象でVARが2回介入

 日本サッカー協会(JFA)は、5月9日にレフェリーブリーフィングを開催。J1の中で4月27日の第10節、ヴィッセル神戸と京都サンガF.C.の試合で判定が二転三転した末に神戸へのPKが与えられた場面が説明された。

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 この場面では前半アディショナルタイム1分、神戸の攻撃でゴール前にサイドから入ってきたボールをニアサイドで神戸FW宮代大聖と京都MF松田天馬が競り、背後にこぼれたボールを神戸FW大迫勇也が蹴り込んだ。現場ではゴール判定となったが、ビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)の介入により宮代の頭にボールが当たった時点で大迫がわずかにオフサイドポジションにいたことが伝えられたことから、飯田淳平レフェリーはVARオンリーレビューによりゴールを取り消してオフサイドの判定とした。

 しかし、宮代の頭に当たったボールは大迫に渡る前に松田が広げた腕に当たっていたことから、飯田レフェリーがオンフィールドレビューを実施。最終的には神戸のPKと判定が変わった。

 ロシア・ワールドカップ(W杯)の審判員に選出されるなど国際主審としても活躍した日本サッカー協会(JFA)審判マネジャーの佐藤隆司氏は、最終的な判定は正しいものという前提を話した。そのうえで、「このシーンで問題になるのは、1つの事象でVARが2回入ったこと。VARには正確性と時間が求められる。時間が掛かるほど、判定に対する信頼性に関わってくる。複雑なシーンでは時間が掛かるが、少しでも短くする努力は必要と言ってきた」とした。実際、この場面では大迫のシュートからPK判定まで約9分を要した。

 このシーンで飯田レフェリーは松田の腕にボールが当たっていることを視認していたという。そして、オフサイドがかなり際どく3Dラインも使用した判断になったが、公開された音声ではオフサイドの判断がVARから伝えられた際に「その前のAPP(アタッキング・ポゼッション・フェーズ/得点につながる一連の攻撃の流れ)は大丈夫?」という飯田レフェリーの声が入っていた。

 その後、一度は「大丈夫です」という返答があったものの、再びハンドについて映像を確認しながら飯田レフェリーに向けて「ディレイ、ディレイ」とプレーの開始を遅らせるリクエストの声があった。

 佐藤マネジャーは、この「APPは大丈夫?」という部分がハンドの確認も含むものになるとしたが、飯田レフェリー自身が松田のハンドの可能性を感じていたことから「何に疑義があるかと言えば手に当たっていることのチェックが完了しているか。オフサイドでゴールを取り消す前に確認すべきだと思う。最終決定をしてから念のためにもう1回見ますというのは適切なのか。決めたあとにもう1回見に行くのは、結果が正しくてもなかなか受け入れられづらい。自分の疑いがクリアになってから決定すべきという話をした」と、説明した。

 サッカーの競技規則上は、次のプレーが再開されるまでは正しい判定に修正することができる。一方で、佐藤マネジャーは「コミュニケーションの取り方、受け入れてもらえる判定をやり続けることを追求しないといけない」と話していた。

(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)



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