町田の守備陣を奮起させる「失点アレルギー」 28歳DFの心に響いた“黒田語録”とは?「支えになる」【インタビュー】
今季9試合出場のDF鈴木準弥が見る町田
FC町田ゼルビアはJ1初挑戦の今季、10試合を終えて6勝1分3敗の2位につけている。5月3日にはリーグ第11節で11位柏レイソルをホーム・町田GIONスタジアムに迎える。黒田剛監督が指揮を執る“新星”が上位をキープする理由の1つが失点への「こだわり」。開幕から9試合に出場している28歳のDF鈴木準弥は「FOOTBALL ZONE」の独占インタビューに応じ、失点への「アレルギー」を明かした。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・小杉舞/全3回の1回目)
【PR】ABEMA de DAZN、明治安田J1リーグの試合を毎節2試合無料生中継!
◇ ◇ ◇
6勝3分1敗――。数字を見れば、上々の出来だと言えるだろう。だが、鈴木の顔は浮かなかった。町田が臨む初めてのJ1で10試合を終えての印象は“手応え”だけではなく、「10失点」に対する反省だった。
「多分結果として、数字としては悪くはないのかなというのは客観的に見て、僕自身も思う。でもその中でやっぱり町田のコンセプト、失点しないというところで、相手の質、クオリティー、フィジカルを含めて総合的に今までより相手のレベルが上がっている中で、(課題が)浮き彫りになっている。疎かになったり、相手より下回って失点してしまったところがある。そういったところを詰めていれば、6勝1分3敗よりいい数字を出せていた。町田としては失点に対してのこだわり、アレルギーみたいなのは本当にすごい。失点が起こった時の要因を結構、徹底的に検証するチーム」
その追及ぶりはこれまでJ1、J2、J3カテゴリ、複数クラブを渡り歩いてきた鈴木にとっても「全然違う」と驚く。これまでの経験を踏まえてもミーティングの回数、時間も他クラブに比べて圧倒的に違うという。
「見直すと自分たちが手を足も出ない、相手のクオリティーが凄すぎて、と言う失点シーンは、ここまでそこまでなかったのかな。自分たちがやんなきゃいけないことをここでやっとけば防げたよね、という。もちろんPKとか(ガンバ大阪の)宇佐美さんに決められた(開幕戦の)フリーキックとかはありますけど、でもその前の段階というところもしっかり自分たちで検証している。これまでは結果、勝てばOKという形でやっていく環境が多かった。だけど、町田では監督も言う通り4-1で勝ったとしても、1失点しただけですごく後味が悪い。本当に(失点)ゼロが大事というところは監督が言っている。これまで(失点に)アレルギー反応あるチームっていうのは経験したことない」
守備に対しての意識を強めること、加えて指揮官が強調するのは“人間性”だ。ただ人間性と聞いてイメージするのはピッチ外での振る舞いが多い。しかし、黒田監督が話すのは、ピッチ外はもちろん、ピッチ内での“人間性”だ。鈴木自身、黒田監督の言葉で印象に残っているのが「最大のスキルはキャラクター」だという。
「自分の中では大事にしている。ほかにも『1本中の1本こだわる』とかもあるんですけど、『最大のスキルは、人間性、キャラクター』は自分の中で、支えになる。人間性は生まれ持った、今まで培ってきた部分もありますけど、でも心持ち、自分のモチベーション、意識などでも備えられる。プロに入ったなかで、人間性とかキャラクターの部分は大きな武器というのは印象に残っている」
これは例えばGKと1対1の場面。シュートを打つときに左右、うしろ、決め切る確率が高い味方がいないか。選択ができる人間なのか。ピッチ内での“人間性”が問われる瞬間だ。
「チームとして勝ちたければ、そういう(決める高い確率の)選択ができると思う。例えば自分を犠牲にしてまで、体を張って守れるか。監督はよくその人間性とかキャラクターが顕著に出る、と。本当にサッカーで流れのスポーツの中で1シーン、1シーン、ぶつ切りにしたところで、そういう人間性とかキャラクターというところが出てくるんじゃないかなというふうに思っています」
“黒田イズム”の浸透こそが今の町田の強さ。いかにしてピッチ内で勝ち点3をもぎ取るのか。1人1人がその熱く燃えたぎった気持ちが表れた時こそ、勝利という形で花が開くのだ。
[プロフィール]
鈴木準弥(すずき・じゅんや)/1996年1月7日生まれ、静岡県沼津市出身。早大卒業後、ドイツ3部VfRアーレンでプレーし、帰国後、藤枝MYFC、ブラウブリッツ秋田、FC東京でプレーし、2023年から町田。地元に「株式会社準弥」を設立。社長としてはスクールや、犬の殺剃分ゼロ、流産経験者など支援する活動にも力を注いでいる。
【試合情報】
開催日:2024年5月3日(土)
カテゴリ:J1リーグ第11節
対戦カード:FC町田ゼルビア vs柏レイソル
キックオフ時間:15:00
試合会場:町田GIONスタジアム
情報・試合に関するイベント情報などはこちら
(FOOTBALL ZONE編集部・小杉 舞 / Mai Kosugi)