横浜FM新監督、逆転勝利に導いた的確“采配”「正直、秘密に」 2枚替え決断の訳とは?

今季から横浜FMの指揮を執るハリー・キューウェル監督【写真:徳原隆元】
今季から横浜FMの指揮を執るハリー・キューウェル監督【写真:徳原隆元】

東京Vとの開幕戦は2-1で勝利

 横浜F・マリノスは2月25日にJ1リーグの開幕戦で昇格組の東京ヴェルディと国立競技場で対戦。0-1のビハインドで試合終盤を迎える中、後半44分からの連続ゴールで2-1の逆転勝ちを収めた。ハリー・キューウェル監督は「内容は思っていたものではなかったが、彼らの姿勢、最後まであきらめないところに感銘を受ける」と選手たちを称えた。

【注目】白熱するJリーグ、一部の試合を無料ライブ配信! 簡単登録ですぐ視聴できる「DAZN Freemium」はここから

 立ち上がりの前半3分、東京Vが相手の背後に高いロングボールを蹴り込み、横浜FMはGKポープ・ウィリアムがペナルティーエリア外まで飛び出して処理を試みるもハンドの反則。木村博之レフェリーはイエローカードを提示したが、中村太VAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)は決定的な得点機会阻止(DOGSO)の可能性があるとして介入。オンフィールドレビューの末、判定はイエローカードのままになった。

 しかし、そのペナルティーエリアすぐ外の右45度付近からのフリーキックを、MF山田楓喜に壁を越えてニアサイドに曲がり落ちる絶妙な左足シュートで決められてしまった。Jリーグにとっては1993年のオープニングゲームの再現というカードであり、キューウェル監督も「国内でも注目されていたナショナルダービーという開幕カード、相手は昇格してきたチームで簡単な試合にならないと思ったが、やっていた中でもそうなった」として、「ヴェルディも素晴らしいチームだと見えた。コンパクト、アグレッシブさを出していた」と話す。

 横浜FMにとって苦しい展開は変わらず、前半の内に中盤の構成に変化をつけるなどしたが、大きく動いたのは後半11分の2枚替え。FW宮市亮とFWヤン・マテウスを左右に入れ、FWエウベルを中央にシフトした4-2-3-1にしたところからだった。

 この采配についてキューウェル監督は「正直、秘密にしたいところもありますが」と苦笑いしたが、「前半は自分たちで自分たちを難しくした。練習でやっていないことをしてもうまくいかないというのもおのずとある。大きな変化ではなく少し変化を持たせたが、そこまで大きくは変わらなかった。後半、交代選手が違いを見せてくれた。マテウスと宮市のところでパワーと前方向に向かう動きが増えてチャンスも増えたと思う。相手がどう来ても自分たちがやろうとしていることをやった結果、勝利につながったのではないか」と振り返った。

 実際に、特に右サイドからチャンスが増えて後半40分を過ぎてから右からのクロスをファーで折り返したところに相手のハンドでPKを獲得。これをFWアンデルソン・ロペスが決めて後半44分の同点ゴールとすると、後半アディショナルタイムには右サイドの崩しからDF松原健が決勝ゴールを奪った。

 AFCチャンピオンズリーグ(ACL)決勝トーナメント1回戦のバンコク・ユナイテッド(タイ)戦も内容的には苦しみながら2戦合計3-2で突破した。その第2戦は2月20日に、延長戦まで行う激闘。それから中4日とあり「このコンディションでなかなか自分たちのサッカーを見せる部分が少なかったし、ベストな状態では正直なかったな、と。その理由は別の大会で先日120分の試合をしていた中、内容は思っていたものではなかったが、彼らの姿勢、最後まであきらめないところに感銘を受ける」と、指揮官は選手たちを称えた。

 トリコロール軍団はACLとリーグ開幕戦と続いて、難しい展開に陥りながらも結果を残した。その間に試合内容の部分でも好転させていくことができれば、昨季と同じように優勝争いをすることも現実的になるはずだ。

page1 page2 page3

今、あなたにオススメ

トレンド

ランキング