「一体何が?」 森保ジャパンの“沈黙”…開催国カタールの記者も要因分析に困惑【現地発】
サラット記者はベスト8敗退も「日本がトップクラス」と評価
多くの報道陣が去って寂しくなったカタール・ドーハのメインメディアセンターだが、残った記者たちは熱心にアジアカップの取材を続けている。
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その中でひときわ目立つのは、「カタール・ニューズ・エージェンシー」のアリ・サラット記者。イスラムの衣装に身を包み、優雅にメディアセンターを闊歩している。
「私たちは日本代表がどのチームにも勝ち進んでいくだろうと思っていたのに、(グループリーグの)イラク戦に敗れ、(準々決勝の)イラン戦にも敗戦を喫してしまった。もし日本がイランを破っていたら、準決勝ではカタールに2019年アジアカップ決勝のリベンジをしたいだろうと思っていたよ。でも見てのとおり、この大会は簡単じゃない」
サラット記者は残念そうに語った。
「イランとの試合を見ると、前半は完全に日本のペースだった。だけど後半は流れが変わり、イランが試合をリードした。非常に重要な場面でのPKは、日本にとって非常に厳しいものだった。しかし、それでも私は日本がトップクラスだと思う。ノックアウトされたにもかかわらず」
選手たちに対する評価も高かった。日本の選手たちの名前がスラスラと出てくる。
「遠藤航はとても良かった。それに今大会の中村敬斗は本当に良かった。南野拓実も良かったと思うよ。日本のチームはみんな、本当にレベルが違う。でも、今大会で彼らに何が起こったのか分からない」
日本がこのトーナメントに勝てなかった理由は何か。サラット記者は少し考えてこう語った。
「この大会では何も期待してはいけないんだ。今回のアジアカップは、これまでのアジアカップの中でも最も難しい大会だと思うからね」
カタールの次の相手は日本を破ったイラン。「カタール代表は、準決勝に進出するために私たちが望んでいたことをやってのけた。次のイランとの試合は厳しいものになるだろう。私たちの代表チームは、パフォーマンスではなく、勝つことだけを考えている現実的なチームだ。カタールだってイランにとって簡単ではないし、イランだってカタールにとって簡単ではない。でも、どうなるか見てみよう」
そうコメントしたあとに、サラット記者は少し笑って「ところで私は『オタク』なんだ。日本のマンガもアニメも好きだよ。『キャプテン翼』『赤き血のイレブン』『タイガーマスク』、そして一番のお気に入りは『ワンピース』だよ」と続けた。
サラット記者が日本と対戦できず、本当に残念そうな表情を浮かべたのは、この趣味も関係していたかもしれない。
(森雅史 / Masafumi Mori)
森 雅史
もり・まさふみ/佐賀県出身。週刊専門誌を皮切りにサッカーを専門分野として数多くの雑誌・書籍に携わる。ロングスパンの丁寧な取材とインタビューを得意とし、取材対象も選手やチームスタッフにとどまらず幅広くカバー。2009年に本格的に独立し、11年には朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の平壌で開催された日本代表戦を取材した。「日本蹴球合同会社」の代表を務め、「みんなのごはん」「J論プレミアム」などで連載中。