森保ジャパンの「GL3戦総括」・リーダー編 2人の牽引者が導いた3戦目の勝利…今後の分岐点に【現地発】

森保ジャパンの「リーダー」にフォーカス【写真:Getty Images】
森保ジャパンの「リーダー」にフォーカス【写真:Getty Images】

3戦を振り返って浮かび上がった森保Jのリーダー像

 森保一監督率いる日本代表は、1月24日にカタール・ドーハで行われているアジアカップのグループリーグ(GL)第3戦を迎え、インドネシア代表に3-1で勝利した。これによりベスト16入りが決定。2位でグループを抜けて決勝トーナメントへ進む。一発勝負に向けての決戦を前にGL3戦を総括する。今回はリーダー編。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・小杉舞)

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 ベトナムとの第1戦(4-2)、イラクとの第2戦(1-2)、そしてインドネシア戦。この3戦は森保ジャパンにとって必要だった。

 特にイラク戦の敗戦は北中米ワールドカップ(W杯)で優勝を目指す日本にとって今後のターニングポイントになる試合になったのではないか。

 イラク戦ではプレスがハマらずにラインコントロールで苦戦。相手に押し込まれてうしろ、うしろへと重くなっていた。守備で修正できず、攻撃も停滞。後半アディショナルタイムで1点返しても時すでに遅しだった。だが、この10連勝がストップした敗戦後に堂安律が言った。

「連勝していたなかで、絶対にいつか止まる覚悟はしていた。ずっといいわけがない。悪い時にチームにリーダーがいるか。上手い選手だけじゃ勝てないのは全員が分かっている。リーダーが多ければ多いほど立て直せる。良い試練が来ていると思う」

 ここでチームは立て直しを図った。ミーティングでは選手から活発に意見が飛び、ゲームの中でも主体的に修正していく。

 主将の遠藤航を中心にディフェンス陣は冨安健洋が牽引、攻撃陣は堂安が「発言」で引っ張った。

 冨安と堂安の2人は前回大会のアジア杯で東京五輪世代ながら主力として出場。それぞれ1ゴール挙げているが、決勝でカタールに1-3で敗れて優勝を逃した悔しさを知っている。

 だからこそ、頂点に懸ける思いは強い。でも、イラク戦では先を見据えすぎて足元をすくわれた。

 ベトナム戦後の練習で冨安は話した。

「シンプルに緩さはあったと思います。メンタル的な。それは実際にあってはいけないことだと思いますし、あとはできる限りボールを自分たちのゴールから遠ざけながらプレーするということが大事になってくると思う。

それを緩さというのか、大会初戦の難しさで、緊張だったりプレッシャーだったりっていうものは選手それぞれ違うと思いますけど、でもそういういったところをやっぱり経験のある選手だったり、キャップ数がある選手が周りにも締めろよというのは伝えないといけないですし、そこは僕に求められていることだと思うので、そこはピッチ上でしっかりと責任を果たしたいなと思います」

「緩さ」を「締める」役割こそ自分だとした。

「アジアをナメているだけ」堂安がチームに喝

 また、堂安はイラク戦直後に「史上最強と言われているなかで、調子に乗るなと言われている感じもする」と言い、インドネシア戦の前日に「ワールドカップで僕らは学んだはずなのにアジアカップでできなくなっている。というのはやっぱりアジアをナメているだけだと思う。1点差でも勝てれば勝ち」と、圧倒的な強さを示すことであったり、大量得点で勝つというところに目線が向いていたチームに喝を入れた。

 2人が話したことは同じ。特に1つ上にあたるリオ五輪世代は同じような話をしていたが、悔しさを知る東京五輪世代の2人は新たなリーダーとしてふさわしい「発言」を重ねてきた。

 堂安は「リーダーが多ければ多いほど立て直せる」と話したが、まさにそう。チームが危うくなった時に誰もが中心に立ち、引き上げることができれば、もう1ステップ高い位置へ上がれる。アジア杯が終わった時、そう振り返ることができる大会になれば当初話していた「圧倒的な強さ」とは違う意味の「圧倒的な強さ」を示すことができるのだろう。

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