「トルシエを批判しているのは誰?」 日本戦の健闘をベトナム称賛「史上初の出来事」

日本はベトナムと対戦【写真:ロイター】
日本はベトナムと対戦【写真:ロイター】

日本に善戦したベトナム、母国メディアが指揮官の采配に賛辞

 日本代表は1月14日、アジアカップの初戦でベトナム代表と対戦し、4-2で勝利を収めた。一時はベトナムに逆転される展開となるも、その後は実力を見せつける3連続得点で初戦を白星で飾った。一方で、格上の日本を相手に健闘したフィリップ・トルシエ監督に対し、現地メディアは「いまだにトルシエを批判しているのは誰だろうか?」と見出しを打ち、日本戦で見せた手腕を称えている。

 2011年大会以来の優勝を目指す日本は、前半11分にファーサイドへ蹴り込んだコーナーキック(CK)から、ルーズボールをDF菅原由勢がシュートを放つと、そのこぼれ球を南野が押し込んで幸先良く先制する。しかし、同16分にベトナムのCKの場面、ニアに入れたボールを相手FWグエン・ディン・バックが頭で合わせ、ループ気味となったボールがそのままゴールネットを揺らし、同点弾となった。

 さらに同33分、ベトナムに左サイド付近でセットプレーを与えると、ファーサイドに蹴り込まれたボールを頭で折り返され、スペースに走り込んだ相手FWファム・トゥアン・ハイが無人のゴールに流し込んで逆転ゴールを許した。それでも同45分、南野が再び追加点をマークすると、同アディショナルタイムにはMF中村敬斗がミドルシュートを叩き込み勝ち越し。後半40分には途中出場のFW上田綺世が得点を奪い、4-2で打ち合いを制した。

 優勝候補の日本を相手に一時は逆転する健闘を示したベトナムだが、現地メディアは「いまだにトルシエを批判しているのは誰だろうか?」と見出しを打ち、「ベトナムは日本を相手に自陣籠りしなかった。アジア最強の代表格に2-4で敗れたが、ファンはフランス人監督に対する見方を変えた」とトルシエ監督の手腕を絶賛している。

 直近の試合で成績が思わしくなかったため、サポーターから批判の的となっていたトルシエ監督だが、「ベトナムが日本を驚かせるとは誰も思っていなかった。大半の人々は大勝を連発している日本に、ベトナムが大敗することを懸念していた。しかし、前半の45分間は、驚愕の連続だった」と予想だにしない善戦に驚きを示し、「強大なドイツに波乱を起こした日本が、ベトナム戦であのような展開となるのは誰も予想できなかった。そして、ベトナムが日本戦で2ゴールを記録したことも史上初の出来事だった」と振り返った。

 記事では「ベトナムは気迫と緊迫感を持って粘り強い試合を見せた。5-4-1システムは守備でも規律を重んじ、中盤4人、守備陣5人が近い距離を保った。さらに重要だったのは、最終ラインの主導権だ。ディフェンスリーダーは機を見てラインを押し上げ、オフサイドトラップを仕掛けたり、素早い帰陣も見せていた」と説明している。2002年に開催された日韓ワールドカップで日本を率いた経験を持つトルシエ監督だが、ベトナムでも確かな手腕でチームを育て上げているようだ。

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