日本は「監督がいい」「トロフィーを獲る」 アジア杯ライバル国記者の「森保ジャパン評」【現地発】

アブダビテレビのカルドーン・モウサ氏【写真:森 雅史】
アブダビテレビのカルドーン・モウサ氏【写真:森 雅史】

UAEメディア記者が答えた森保ジャパンへの評価は?

 アジアカップ・カタール大会で、森保一監督率いる日本は、2011年大会以来、通算5度目の大会制覇を狙う。欧州各国クラブで活躍するタレントが豊富な日本は優勝候補に推されるなか、ライバル国記者は森保ジャパンをどう見ているのか? 現地でUAE(アラブ首長国連邦)記者から評価を訊いた。

 今回のアジアカップで日本は間違いなく優勝候補の1つ、さらに言えばチャンピオンの最有力候補と受け取られている。そのため、各国のメディアは日本の情報を多く集めており、日本に対する関心も深い。

 前回2019年アジアカップ大会の開催国、UAEのテレビ局も日本に興味津々だった。彼らは日本の戦績をじっくりと調べており、さらに日本に対する高い好感度を示している。

 アブダビテレビのカルドーン・モウサ氏も、日本に関心を寄せ、好意を示すメディアの1人。「日本についてどう思うか」と聞くと、2022年カタール・ワールドカップ(W杯)が終わったあとの日本の戦績について意気込んで話し始めた。

「世界のどんな国の人も日本代表について語っているよ。2022年カタールW杯でドイツとスペインに勝っただけではなくて、2023年にはドイツに乗り込んで4-1と再び勝って見せた。この大会で最もチャンピオンに近い位置にいると言えるだろう。監督がとてもいい仕事をしているし、遠藤航(リバプール)や冨安健洋(アーセナル)など選手たちはヨーロッパの中でもトップレベルのクラブでプレーしている。だからトロフィーを獲るのにふさわしいチームだと言えるだろう」

 2019年のアジアカップでUAEを率いていたのはアルベルト・ザッケローニ監督。監督は会見に訪れる日本人記者たちと会見後に会話するのが気分転換になっているようだった。というのも、ザッケローニ監督は堅実なチームを作り上げていたが、それが「守備的すぎる」との批判も浴びていたのだ。そのためメディアと監督の関係はギクシャクしていた。

 だが、カルドーン氏は、今回のチームは別の雰囲気だと言う。2023年7月に就任した前韓国代表指揮官のパウロ・ベント監督は、現在のところメディアとの蜜月状態を楽しんでいそうだ。

「パウロ・ベント監督は素晴らしい仕事をしている。これまでにチームが達成したレベルは非常に高く、多くのファンはベントに対していい評価を与えているよ。代表チームはとても好かれている。しかもチームは才能があり若い選手と、33歳のFWアリ・マブフートなど経験のある選手もいてバランスもいい」

 グループリーグでは同組にイランがいるため、FIFAランキングどおりに順位が決まれば2位になる。すると、日本がグループ首位で通過した場合は準々決勝で対戦する可能性が出てくる。それもUAEメディアが日本に対する関心を高めている要因の1つかもしれない。

 UAEは優勝を狙える戦力を揃えているのか。カルドーン氏は「いやいや、そこまでではない」と否定した。「チームはステップバイステップで伸びていっているところだから、いいサッカーを披露できればそれでいいだろう。誰もチャンピオンになりたいなんて話をしていないよ」

 そう言いながら日本の怪我人情報を聞いてくる。中東の巧みな駆け引きと考えておいたほうが良さそうだ。

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森 雅史

もり・まさふみ/佐賀県出身。週刊専門誌を皮切りにサッカーを専門分野として数多くの雑誌・書籍に携わる。ロングスパンの丁寧な取材とインタビューを得意とし、取材対象も選手やチームスタッフにとどまらず幅広くカバー。2009年に本格的に独立し、11年には朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の平壌で開催された日本代表戦を取材した。「日本蹴球合同会社」の代表を務め、「みんなのごはん」「J論プレミアム」などで連載中。

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