史上初の選手権4強に導いた徹底的なカテナチオ 佐野日大が準々決勝で駒澤大高を2−1撃破

自陣に堅牢な2ブロック 海老沼監督「危なければクリアでいい」

 守備を固めて少ないチャンスを生かす――。徹底した超現実的なカテナチオ戦術が歴史を塗り替える勝利につながった。第95回全国高校サッカー選手権で、5日の準々決勝で駒澤大高(東京A)と対戦した佐野日大(栃木)は2-1の勝利をつかみ取った。同校史上初の選手権4強進出を決めた。

 開始早々から佐野日大の狙いは明らかだった。5バックに4人のMFが徹底した守備ブロックを作り、駒澤大高の攻撃を耐える。1トップを務めたFW野澤陸は完全に孤立した状態で、相手DFを背負いながら逆襲の起点になることを求められた。

 夏の高校総体まではボランチを務め、ボール回しの中心にいた野澤に課せられたタスクは全く違うものになった。野澤は「ボールを背負って受けるのは苦手だったし、きついけどそれが勝つためなので。1秒でも2秒でも時間を作れれば味方が上がってきてくれる。無駄走りも多いけど、1本でもそれで取れたらいいので、惜しまずにやろうと」と語り、必死なプレーを見せた。180センチの長身を持つが、今までに経験してきたわけではない前線でのプレースタイルを海老沼秀樹監督とコミュニケーションを取りながら作り上げてきた。

 決勝ゴールを挙げたFW長崎達也も、2トップの一角からサイドハーフにポジション変更となった。チームが5バックシステムになったことで、ボール保持率が下がるだけでなく運動量も増えた。「疲れたなかでのクロスやシュートの精度が大事になると思って練習してきた」と語っている。

 

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