クラブW杯、フルミネンセがアル・アハリ下して決勝進出へ 名手マルセロのPK獲得で世界一に“王手”

勝利したフルミネンセ【写真:Getty Images】
勝利したフルミネンセ【写真:Getty Images】

2-0で勝利

 サウジアラビア開催のクラブ・ワールドカップ(W杯)は現地時間12月18日、準決勝の第1試合で南米代表フルミネンセ(ブラジル)とアフリカ代表アル・アハリ(エジプト)が対戦。元レアル・マドリードの名手、DFマルセロがPK獲得でフルミネンセに決勝ゴールをもたらし、2-0で勝利したブラジルの名門が決勝へと進出した。

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 フルミネンセにはスペインの強豪レアル・マドリードで長年プレーしたDFマルセロ、ブラジルの名門サンパウロやスペインのセビージャでプレーしたMFガンソ、そして“暴君”ことMFフェリペ・メロといった元ブラジル代表のベテラン選手たちがプレー。一方のアル・アハリは4-3-3システムで整理された近代的なサッカーで対抗した。開催地ジッダがアラビア半島の西岸で紅海を挟んですぐにエジプトという地理、同じアラブ圏の国家ということもあり、スタジアムの大半を埋めたアル・アハリを応援するサポーターからの地鳴りのような大声援に包まれた。

 アル・アハリは前半からカウンターを中心に多くのチャンスを作った。運動量がかなり少ないガンソの周囲をフルミネンセはカバーしようとするが、特に高い位置まで進出するサイドバックの背後にアル・アハリのアタッカー陣が何度も飛び出していった。しかし、ラストパスを出すかシュートを打つのかの判断やその精度が低く、ゴールが奪えない。一方のフルミネンセもMFジョン・アリアスのボレーシュートがゴールポストに直撃するなど両者無得点で前半を終えた。

 後半もフルミネンセがテクニカルに前進した後、アル・アハリが整理されたカウンターを繰り出す回数が増えた。決定機を生かせないアフリカ王者に対してフルミネンセは後半23分、右サイドに開いたガンソからマルセロへ大きなサイドチェンジが飛ぶ。そのボールをまさにビタ止めで足下にコントロールしたマルセロは、寄せてくる相手の股抜きでペナルティーエリア内に切り込むとファウルを誘いPKを獲得。これをアリアスが蹴り込んだ。サッカー王国ブラジルのベテラン2人がワンプレーでスコアを持っていった。

 アディショナルタイムにはダブルボランチが自陣で高い技術を発揮して相手のハイプレスをかわして一気に前進。最後は途中出場のFWジョン・ケネディが蹴り込んでフルミネンセが2-0の勝利を収めた。

 試合後の記者会見でアル・アハリのマルセル・ケラー監督は、チャンスを逃し過ぎたのではないかという指摘に対して「事実ですね。今夜は多くのチャンスがあった」としたうえで、「試合と試合の間で2日間しかなく、リカバリーくらいしかできなかった。トレーニングは完全ではなかった」と短期決戦の影響があったとコメント。アフリカメディアからの交代策に対する批判に対し、負傷の影響で起用ができなかった選手がいたことを話していた。

 一方でフルミネンセのフェルナンド・ディニス・シルバ監督は大会初戦だったことや難しいピッチ状態が前半の苦戦につながったと話したが、「失点してもおかしくなかった。彼らは良いプレーをしていたし、GKが素晴らしいセーブもした。ただ、諦めることなくプレーした。リベルタドーレス杯でも難しい状況を乗り越えてチャンピオンになった」と、忍耐力を発揮して試合を乗り越えたと強調していた。そして「厳しい試合になるだろう。明日の試合をよく観察したい。そして決勝に良い準備をしたい」と、クラブ世界一の座を見据えた。

 大会最終日となる22日、フルミネンセは決勝戦、アル・アハリは3位決定戦に臨む。それぞれの対戦相手は、19日の準決勝第2試合、アジア代表の浦和レッズと欧州代表マンチェスター・シティ(イングランド)に試合結果によって決まる。

(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)



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