日本&韓国と同居で「パリに行かなくとも五輪レベルを味わえる」 中国ファンは諦めムードも…母国記者が見出す“光”は?【現地発】

中国記者がU-23アジア杯に言及【写真:ロイター】
中国記者がU-23アジア杯に言及【写真:ロイター】

「懂球帝」のシュエ・ハン記者も「予選突破はほぼノーチャンス」と見解

 日本サッカーファンのみなさま、こんにちは。久保田嶺です。来春にカタールで開催されるパリ五輪予選も兼ねたU-23アジアカップで中国は日本、韓国、UAEと同組なり、「死の組」「チャンスはない」と中国でも大きく報道されました。中国のサッカーに関わる私としては、中国と日本の予選突破が一番の望みですが、正直なところ99%ノーチャンスと考えています。

 先立って9月に行われたU-23アジアカップ予選では、中国はUAE、インドと同組となり、UAEと引き分け、インドに勝利して本大会出場を決めましたが、現在の日本と韓国との差はあまりにも大きいものがあります。同月に中国・杭州にて開催されたアジア大会でもU-23中国代表はU-23韓国代表に0-2で敗戦。スコア以上の内容の差があるゲームとなり、ベスト8敗退で大会を終えました。決勝では日本も韓国に1-2で敗れて準優勝となりましたが、試合の拮抗感やレベル感が全く異なるのは、現在の中国サッカーファンも全員が認めているところではないでしょうか。

 では、中国のサッカー記者はどう感じているのでしょうか。中国大手サッカーメディア「懂球帝」の薛航(シュエ・ハン)記者に聞きました。

「ほぼノーチャンスですね。日本と韓国どちらかに勝って、というのは非常に難しいです。日本代表の大岩剛監督が『グループリーグで簡単な試合は1つもない』と発言したことが中国メディアでも話題となりましたが、『1試合あります』『韓国代表でも十分すぎたのにより強い相手が』などのコメントであふれ、ファン・サポーターはお手上げ状態です。これは半分冗談で書き込みをしているかと思いますが、半分は本気です。それくらい歴然の差があります。直近のA代表のワールドカップ(W杯)予選でも韓国代表には0-3と、手も足も出ませんでした」

 シュエ・ハン記者は、「それでも敢えてポジティブな答えをするとすれば、予選突破は考えず、まずU-23最高峰レベルである日韓と対戦できること自体が非常にいいこと」と言葉を続けます。

「これでパリに行く必要がないです。行かなくとも五輪のレベルを味わえる最高の組み合わせです。そして、そこから学ぶことです。そしてここでの経験をA代表につなげていくこと。そういった機会にして欲しいです。苦し紛れの具体的な戦略としては、3月に行われたU-20中国代表対U-20日本代表のような試合展開にすることです。つまり先制点です。あの試合は開始5分でコーナーキックから中国が先制点を奪い、後半21分まで1-0でした。あのように先制点をセットプレーなどから奪い、あとは堅守速攻でチャンスを狙う。悔しいですが、これが現在の中国チームの最適解になっています。あの試合を経験している選手も何人か日本との開幕戦に出場すると思いますので、彼ら自身もあの展開の再現を狙うはずです」

 奇しくも日本、中国、韓国という因縁深い三か国が同組となった今回の五輪予選。順当に行けば日本、韓国の突破となると思いますが、そこはサッカー。ちょうど1年前、日本もドイツ、スペインという圧倒的な2強を退けてW杯で勝ち上がりました。次は中国の若き代表選手が奇跡を起こすことを、やはり期待してしまいます。

(久保田嶺 / Rei Kubota)



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久保田嶺

1991年生まれ、埼玉県出身。「Rouse Shanghai Co.,Ltd.」代表。日中スポーツに関する広告や選手/指導者のマネージメントを手掛ける。自身の中国SNSフォロワー数も40万人と中国サッカー界で一番有名な日本人として知られ、日本へ中国サッカー情報を発信する。

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