JFA、浦和サポーター17人を無期限の入場禁止、1人を5試合の入場禁止を発表 田島会長が声明「痛恨の極み」
無期限の入場禁止は日本国内で行われる全ての試合(JFA主催試合に加え、Jリーグや各連盟などが主催する試合を含む)が対象
日本サッカー協会(JFA)は8月31日に臨時理事会を開き、「田嶋幸三ステイトメント~世界に誇れるスタジアム環境を~」との会長声明を発表。J1浦和レッズの一部サポーターによる違反行為について17人を無期限の入場禁止、1人を5試合の入場禁止とする決定を下した。
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なお、17人に対する無期限の入場禁止は、浦和の試合だけでなく日本国内で行われる全ての試合(JFA主催試合に加え、Jリーグや各連盟などが主催する試合を含む)が対象となる。
問題の発端は、今月2日の天皇杯ラウンド16名古屋グランパス戦の試合後に起こった一部浦和サポーターが暴徒化だ。ピッチへの乱入、立ち入り禁止エリアへの侵入という愚行をはたらき、愛知県警が出動する騒ぎに発展した。
浦和側は立ち入り禁止エリアへの侵入を主導したサポーターなどに処分を科すとともに、今月5日にはオンライン会見を実施。クラブとしての処分内容および根拠などを説明していた。
また、16日付で発表された続報リリースでは、JFAが実施してきた映像を用いた事実確認の結果報告を受けたことが報告される。新たに判明した違反行為として、暴力行為(警備員を押し倒したり、相手サポーターの胸倉を掴むなどの行為)、破壊行為(緩衝柵を破壊するなどの行為)があったとした。
こうしたなか、31日にJFAが臨時理事会を実施。「田嶋幸三ステイトメント~世界に誇れるスタジアム環境を~」との会長声明で17人を無期限の入場禁止、1人を5試合の入場禁止の処分を発表した。
田嶋会長「一部の心ないサポーターによって暴力や威嚇、破壊行為で侵されたことは極めて残念」
JFAは「レッズサポーターは日本一の規模を誇り、その応援で素晴らしい非日常空間をつくることができる、世界に誇るサポーターです」と、そのサポーターの規模の大きさにも触れつつ「そういう素晴らしい存在であるにもかかわらず、一部の心ないサポーターによって、楽しく、ワクワクするはずの観戦環境が、暴力や威嚇、破壊行為で侵されたことは極めて残念なことです」と田嶋幸三会長の以下声明を公表した。(一部抜粋)
「今回の違反行為は、安全で安心してサッカーを楽しめる環境を広げていこうというサッカー界全体の取り組みを著しく阻害するものです。私もその時の状況を映像で確認しましたが、明らかに危険行為であり、決して看過できるものではありません。しかも、夏休みということもあって多くの子どもたちが来場しているなかで彼らに恐怖感や不安を与えてしまったことや、日本は女性や子ども、高齢者も安全に快適にサッカー観戦ができると世界的にも評価されているにもかかわらずこのような事案が発生したことは、痛恨の極みであり、日本サッカー界として忸怩たる思いを抱いています。
スタジアムは若い人ばかりではありません。初めて来られる人もいるでしょう。障がい者の方や高齢者、子どもも観戦しており、万が一、彼らに危害が及んだ場合、大きな事故になりかねません。さらに言えば、今回のケースは負傷者や死者を出すような重大な事故を引き起こす危険性も孕んでいました。
今後、このようなことが二度と起こらないよう、JFAとしてもJリーグやWEリーグをはじめとする各リーグや連盟、47都道府県サッカー協会などと連携して再発防止策を講ずるとともに、リスペクトの推進や暴力・暴言根絶の啓発活動など積極的な情報発信を行ってまいります。そして、技術委員会、審判委員会、リスペクト・フェアプレー委員会、ウェルフェアオフィサーらと試合運営管理規定など各種規則の見直しを図る一方、運営・警備体制を強化します。
また、違反行為を犯した者に罰則を与えたり、今回のような決定を下したりするだけでなく、われわれももう一度、襟を正してスタジアムの安全確保について真剣に考え、防止策を講じていきます。JFAはいかなる場合でも暴力や暴言、差別などを容認せず、全ての観戦者が安全に安心してサッカーを楽しめる健全なサッカー環境を広げていきます。本気で変えるには1人1人が当事者意識を持つことが重要です。このサッカー界の考えや取り組みが、いずれは日本のスポーツ界や国際社会にも良い影響を与えるものになるよう、サッカーファミリーの皆さんと共に考え、日本サッカーを統括する団体としての使命感と責任を持って取り組んでいく覚悟です」