U-17日本代表、アジア杯の勝算は? J2熊本の高校生エースが牽引…W杯出場へ“06ジャパン”有望株チェック

U-17日本代表を率いる森山佳郎監督【写真:Getty Images】
U-17日本代表を率いる森山佳郎監督【写真:Getty Images】

【識者コラム】U-17W杯出場権懸け、アジア杯に臨む“06ジャパン”にフォーカス

 6月15日からタイで行われているU-17アジアカップは今年11月に予定されるU-17ワールドカップ(W杯)の予選も兼ねている。16か国を4組に分けて、それぞれ上位2か国が準々決勝に勝ち上がる。そして準々決勝に勝利した4か国がアジア代表として世界の切符を勝ち取るレギュレーションだ。

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 もちろん森山佳郎監督が率いる“06ジャパン”の目標はアジア制覇で、選手たちの中でも優勝して世界へという共通意識はあるようだが、まずはウズベキスタン、ベトナム、インドが相手となるD組を無事に突破して、準々決勝につなげたい。日本の初戦は17日のウズベキスタンとなる。ここのところ、どんどん力を付けている中央アジアの強豪で、先のU-20W杯ではベスト16に進出している。その1つ下の世代となるが、この組で一番のライバルになり得る相手と、いきなり初戦で戦うというのは難しい。

 これまで南米遠征でアルゼンチン、ウルグアイに“ぶつかり稽古”を挑むなど、精力的にチーム強化しているウズベキスタンは、大会直前にシンガポールでマレーシアと親善試合を行い、3-2で勝利している。左ウイングを得意とするエースのFWアブドゥルハミド・トゥルグンボエフを中心に、鋭い攻撃を仕掛けてくることが予想される。2試合目、3試合目ともタイ代表の聖地であるラジャマンガラスタジアムで試合ができるので、ウズベキスタンを叩いて良い流れで、中2日で続くベトナム、インドとの試合に向かって行きたい。

“06ジャパン”は4-4-2をベースとしている。エースとして期待されるのはJ2ロアッソ熊本のFW道脇豊だ。9番を背負う高校2年生の道脇は現時点の選手データでは186センチだが、実際はより大きく見える。スピードのある選手で、もともと裏抜けばかりを狙っていたが、大木武監督の指導で、サイズを生かしたポストプレーや空中戦も意識するようになったという。

 その道脇と主に2トップを組むことが予想されるのはFC東京U-18のMF佐藤龍之介だ。この世代のナンバー10として期待を背負っており、チャンスメイクに幅広く関わりながらゴール前で鋭く差し込んでいく。U-18所属だが、ルヴァン杯のガンバ大阪戦で4-1-2-3の右ウイングに入り、鋭く裏に走り抜ける動きなどを見せた。トップチームのレベルでは粗削りだが、この世代の大会では攻撃の中心として世界域への鍵を握る。

 MF矢田龍之介(清水エスパルスユース)も大きな飛躍が期待されるタレントの1人だ。森山監督の下ではボランチで起用されているが、攻撃センスが非常に高く、相手ディフェンスに隙が生じればいつの間にかバイタルエリアに入り込んで、決定的なプレーを見せる。4-1-4-1を使う場合はインサイドハーフとしても面白い存在だ。ボランチでコンビを組むMF山本丈偉(東京ヴェルディユース)は185センチの上背で、ボール奪取力と展開力を兼ね備える。山本がどっしり構えることで、矢田の攻め上がりのセンスが引き出されるはずだ。また、小柄だが運動量の豊富なMF宮川大輝(ガンバ大阪ユース)も面白い存在だ。

2007年生まれの高校1年生が3人、昌平高MFは活躍次第で引く手数多も

 中盤の左サイドはMF川村楽人(東京ヴェルディユース)、右サイドはMF杉浦駿吾(名古屋グランパスU-18)がワイドから積極的に仕掛けてチャンスを作る。左サイドバックでの起用が予想されるDF小杉啓太(湘南ベルマーレU-18)の攻め上がりも見どころだ。早生まれの高校3年生でもあり、キャプテンとしてリーダーシップを発揮する。同じ湘南U-18の大型センターバックであるDF本多康太郎は187センチの恵まれたサイズと人に対する強さがあり、ロングフィードでもチャンスを生み出せる。

 そのほかのキーマンとしてMF望月耕平(横浜F・マリノスユース)を挙げたい。「どこでもできるのが自分の持ち味」と語るとおり、練習試合でも4-4-2の左サイドハーフと2トップの両ポジションで起用されていた。横浜FMのアタッカーらしく、シンプルで正確なパスから嫌らしい場所に入っていく動きが上手い。

 また今回の“06ジャパン”には2007年生まれの高校1年生が3人いる。左利きの右サイドアタッカーであるMF山口豪太(昌平高)は今後の活躍次第でJリーグから引く手数多になり得るタレントだ。DF黒木雄也(サガン鳥栖U-18)はフィード力にストロングを持ち、空中戦にも強い。課題は1対1の守備だが、12月生まれということもありこの大会を通して大きく伸びれば、W杯の頃には主力になってもおかしくない。

 GK荒木琉偉(ガンバ大阪ユース)は高校1年生にして191センチのサイズを誇る大型GKであり、ポテンシャルは2017年のU-17W杯で日本のゴールを守った大先輩のGK谷晃生(G大阪)に勝るとも劣らない。メンタリティーも非常に強さを感じさせる。1番を背負う190センチのGK後藤亘(FC東京U-18)が正守護神として予想されるが、GK上林大誠(モンテディオ山形ユース)とともに3人で良い競争をしながらU-17W杯、さらにはその上のカテゴリーにつなげてほしい。

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河治良幸

かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。

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