「試合巧者ではないと思う」 殊勲弾の浦和DF酒井宏樹が現チームに求めた成長は?

浦和の酒井宏樹【写真:Getty Images】
浦和の酒井宏樹【写真:Getty Images】

後半27分に伊藤敦樹との連係から同点弾

 会心の勝利に、浦和レッズのマチェイ・スコルジャ監督は好感触を得ていた。「この試合が終わって、満足感を感じています。結果を残しただけでなく、戦術的なタスクをしっかり実行できたことをうれしく思います」と、試合後の会見で口にした。

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 5月31日に行われたJ1リーグ第11節延期分のサンフレッチェ広島戦で、浦和は前半にロングボールを多用しながらゲームをコントロールし、後半に勝負をかけにいった。先制される誤算はあったものの、布陣や選手を変えながら、2-1と今季リーグ戦4度目の逆転勝利を収めている。

 チームに勝ち点3をもたらした立役者の1人が、DF酒井宏樹だ。後半27分には冷静に同点ゴールを決めると、後半アディショナルタイム2分には、右サイドからのロングフィードをFWブライアン・リンセンに合わせ、MF伊藤敦樹の決勝ゴールのお膳立てをした。

 今季、2点目となる自身のゴールシーンについて、酒井は「トモ(大久保智明)と(伊藤)敦樹といいコンビネーションができたので。そこは信頼関係がある。トモがボールを持った時に敦樹と目が合って、そこから僕に出てくるイメージができていた。あとは、できるだけ相手を食い付かせてオフサイドにならないようにしました。(シュートはインサイドで)狙い通りにいって、良かったです」と、振り返った。

 そして、「ああいうトライアングルをいろんなところで作っていけたらいい。そういう意味では、もう少し前半はダヴィド(・モーベルグ)のところにいい距離感で敦樹が絡んでいってあげれば、もっと彼が生きたかなと感じる。そこは久しぶりにやったので、やり続けることが必要かなと思います」と、自身のゴールシーンのような場面を増やすためにも、より全体が連動することの必要性を口にした。

 決勝点につながったロングボールについては、「あれのほうがサイドバックっぽい仕事だったと思う。(興梠)慎三さんが入ると、(相手だけではなく)僕らも釣られてしまう。僕もアキ(秋本考浩)も、いつも慎三さんを見ちゃう。あの時だけ、ちょっと冷静にブライアンが見えていた。みんなゴール前に行くなかで、ブライアンがフリーになるのが見えた。上手く折り返してくれましたし、敦樹もよく決めてくれたと思います」と、語っている。

酒井が静かに覗かせた「勝ち切れる、手ごわいチーム」への手応え

 同点ゴールを決めた直後には、ゴールにボールを取りに行こうとしたら、興梠が先にボールを掴んだため、酒井はペットボトルを取りに行った。その時、サポーターが目に入り、両手でゴール裏をひと煽りしてから、水を飲みながら自身の持ち場へすぐに戻っていった。

「いろいろ詰め込んでましたね」と笑ってから、酒井は「でも、1-1になれば、このスタジアムでは何かが起こると思いますし、そういう雰囲気だったり、結果を僕らがもたらすことができれば、サポーターも『また勝つんじゃないか』と思って、さらにパワーをくれると思う。ここでは絶対に負けてはいけないし、ホームで負けるようなチームであってはいけない。そういう意味では(逆転勝利できて)良かったと思います」

 この勝利で、浦和は消化試合が1試合少ないながらも、広島とセレッソ大阪を抜いて4位に浮上した。すでにAFCチャンピオンズリーグ(ACL)も制し、タイトルも獲っている今季の浦和だが、ACL優勝直後に「まだまだ強いチームじゃない」と話した酒井のチーム評価は、まだ大きくは変わっていないという。

「強いチームなら、2-0、3-0で勝っていますよ。前半に1-0、後半も1点決めて2-0とか。それが強いチーム。そういう意味では僕らは1点決められて、そこから盛り返さないといけないから試合巧者ではないと思う。でも、勝ち切れる、手ごわいチームになってはいると思います。ここから強いチームになれるかは、僕ら次第なので、頑張っていこうと思います」

 戦いながら成長している浦和。キャプテンの酒井がシーズン終了時にサポーターの前でシャーレを抱えることができたとしたら、きっとその時は胸を張って「強いチームになった」と言ってくれるはずだ。

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