ソシエダ久保に酷評「最悪に匹敵」 地元記者が指摘「必要なレベルに達していなかった」【現地発コラム】

レアル・ソシエダMF久保建英【写真:Getty Images】
レアル・ソシエダMF久保建英【写真:Getty Images】

ビルバオとのバスクダービーに先発した久保は途中交代、チームも0-2で敗戦

 レアル・ソシエダの日本代表MF久保建英は、今季2回目となるアスレティック・ビルバオとの「バスクダービー」に先発出場するも目立つ活躍なく途中交代した。

 ソシエダは現地時間4月15日、アウェーで行われたラ・リーガ第29節でビルバオと対戦。久保はこの日、得点を決めてMVPに輝いた前節ヘタフェ戦と同じ中盤ダイヤモンド型の4-4-2の右FWでプレーを開始した。

 右サイドを起点に序盤から前線で張るも、チームが押し込まれたことでボールを受けることができない時間が続いた。イマノル・アルグアシル監督は悪い流れを断ち切るため、ハーフタイムに2人交代し、4-3-3にシステムを変更。これにより久保はポジションを右ウイングに移し、前半よりも自由にプレーできるようになったが、アスレティックDFユーリ・ベルチチェの厳しいマークに遭い、望むようなプレーをさせてもらえなかった。

 また後半10分、ソシエダFWアンデル・バレネチェアのシュートがビルバオGKウナイ・シモンに防がれたあと、その弾かれたボールに反応して右足でゴールを狙うも、ファインセーブされて得点できず。結局、この日の久保は不本意なパフォーマンスのまま後半16分に交代となった。ビルバオFWイニャキ・ウィリアムズに2点を奪われ0-2で敗れたソシエダは、今季のバスクダービー2連勝とはならなかった。

久保建英について語ったスペイン紙「エル・ディアリオ・バスコ」のイケル・カスターニョ・カベージョ記者【写真:高橋智行】
久保建英について語ったスペイン紙「エル・ディアリオ・バスコ」のイケル・カスターニョ・カベージョ記者【写真:高橋智行】

スペインメディアから低評価、地元記者も言及「久保は100%の状態ではなかったと思う」

 前回のビジャレアル戦に続き、アウェーで2試合続けて酷いゲーム内容となったため、スペインメディアの選手に対する評価は全体的に低かった。

 久保も例外ではなく、クラブの地元紙「エル・ディアリオ・バスコ」は「ラ・レアル(レアル・ソシエダの愛称)での最悪の試合とまでは言わないまでも、それに匹敵するほどの出来だった。ユーリとの1対1のあらゆる局面で絶望的なほど勝てなかった。また後半10分、自分のところにこぼれてきたリバウンドで最高の決定機を掴んだにもかかわらず、シュートはウナイ・シモンに素早く反応され、後半16分にピッチを去った」と酷評し、チームワーストタイの1点(最高5点)を付けた。一方、スペイン全国紙「AS」、「マルカ」の久保評価はともに1点(最高3点)だった。

 地元紙「エル・ディアリオ・バスコ」のイケル・カスターニョ・カベージョ記者は試合後、バスクダービーの久保について次のように振り返ってくれた。

「久保のパフォーマンスはチーム同様、バスクダービーに必要なレベルに達していなかったし、アスレティックのタフなプレーに立ち向かうことができなかった。(1月に行われた)前半戦のダービーでは主役を演じて勝利に貢献したが、今回はドリブル突破を試みるも全く成功できず、あらゆる形でトライしたものの、なんの打開策も見出せなかった。またフィジカルコンディションも100%の状態ではなかったと思う」と指摘した。

 また試合内容に関しては、「序盤からアスレティックのほうが優れていたのは明らかだった。特に前半はラ・レアルがすべての面で圧倒されていた。アスレティックがチャンスをしっかり生かした一方、ラ・レアルは決定機を生かせず、中盤ではミケル・メリーノやスビメンディが凌駕され、前線の久保やオヤルサバルなどはゴールを決め切れなかった。今日のラ・レアルのパフォーマンスは今シーズンの中でもワーストに近い内容だった」と分析していた。

久保所属のソシエダが乗り込んだビルバオの本拠地「サン・マメス・スタジアム」【写真:高橋智行】
久保所属のソシエダが乗り込んだビルバオの本拠地「サン・マメス・スタジアム」【写真:高橋智行】

現在4位のソシエダ、来季CL出場権獲得へ残された“ビッグ3”との厳しい戦い

 バスクダービー前に久保は「全勝すれば(UEFA)チャンピオンズリーグ(CL)に出場できる」と意気込みを語っていたが、最大のライバルに悪い内容で負けたショックが、今後に大きな影響を与えないことを願いたい。

 その理由は、ホームでラージョ・バジェカーノ、レアル・マドリード、ジローナ、アルメリア、セビージャ、アウェーでベティス、オサスナ、FCバルセロナ、アトレティコ・マドリードと、残り9節でビッグ3を含む厳しい戦いがいくつも残されているからだ。

 ソシエダは現在、CL出場圏内の4位の座を死守しているものの、直近のリーグ戦11試合でわずか3勝という不安定な状況が続き、3位アトレティコに勝ち点9差をつけられ、5位ベティスに勝ち点3差、6位ビジャレアルに勝ち点4差まで迫られている。

 このような状況のなか、来季のCL出場権を確実に手にするためには、久保が言ったように「全勝する」という強い気持ちを前面に押し出し、早急に前半戦で披露していたような安定したパフォーマンスを取り戻す必要があるだろう。

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高橋智行

たかはし・ともゆき/茨城県出身。大学卒業後、映像関連の仕事を経て2006年にスペインへ渡り、サッカーに関する記事執筆や翻訳、スポーツ紙通信員など、スペインリーグを中心としたメディアの仕事に携わっている。

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