三笘薫のプレーの何が凄い? 日本代表OBが見た世界最高峰プレミアリーグで活躍できる訳
【特集|三笘薫“解剖”/専門家の目】抜けるドリブルの鍵は0→100への加速のスピード
イングランド1部ブライトンの日本代表MF三笘薫は、今季ここまでプレミアリーグで16試合に出場して5ゴール1アシストをマークしているが、インパクトの大きさは数字以上なのは言うまでもない。世界最高峰と言われるプレミアリーグで活躍できるのはなぜか。三笘のプレーの特徴を、元日本代表DF栗原勇蔵氏が代表的なシーンを挙げながら分析する。(取材・構成=FOOTBALL ZONE編集部)
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三笘の特徴と言えば、真っ先にドリブルが挙げられるだろう。強豪リバプールとの今季公式戦3試合ではリーグトップとなる合計10回のドリブルを成功(データ分析会社「オプタ」調べ)させ、対峙したイングランド代表DFトレント・アレクサンダー=アーノルドを置き去りにするシーンが何度も見られた。ドリブルスピードはもちろんのこと、トップギアに入るまでの早さを栗原氏は指摘する。
「まずドリブルスピードがものすごく速い。そのうえで0から100のトップギアに入るまでが早いので、対戦相手は置いて行かれてしまいます。(同じドリブラーのスタッド・ランスFW)伊東純也はより直線的で縦に大きく出して走るのが速い。それに対して、三笘はより細かいドリブルで初速が早く、(アルゼンチン代表FWリオネル・)メッシのようにボールを持った時のほうが速く感じるイメージ。アジリティーの能力がずば抜けています。だから、『自分の間合いで守っていればいい』という感覚で守っている選手はやられてしまう。レアル・マドリードのブラジル代表DFエデル・ミルトンとか、トップトップのレベルでないと真っ向勝負では止めれなくなってきたと思います」
■FAカップ4回戦リバプール戦(後半10分)の“急加速ドリブル”
「よーいドンの勝負だと、平均より少し速いくらいの選手では置いていかれる。三笘はボールを少し身体から離して前に押し出すので、相手からしたら身体を合わせに行きづらいのかもしれないです。普通は身体が前かがみになってからボールをかき出す。ボールのほうが(身体よりも)あとから付いていくパターンなので、守る側も動きを見て身体を当てにいけます。でも、アーノルドを抜いたシーンは、先にボールをスペースへ出してドリブルしている。アーノルドは『もしかしたらパスを出されたのかな』と思って、一瞬遅れてしまう。三笘はスピードだけでなくテクニックもあるし、力みもないので。1人は縦だけを切り、もう1人は中がカバーするように、2人使わないと簡単には抑えられないと思います」
栗原勇蔵
くりはら・ゆうぞう/1983年生まれ、神奈川県出身。横浜F・マリノスの下部組織で育ち、2002年にトップ昇格。元日本代表DF松田直樹、同DF中澤佑二の下でセンターバックとしての能力を磨くと、プロ5年目の06年から出場機会を増やし最終ラインに欠かせない選手へと成長した。日本代表としても活躍し、20試合3得点を記録。横浜FM一筋で18シーズンを過ごし、19年限りで現役を引退した。現在は横浜FMの「クラブシップ・キャプテン」として活動している。