森保監督続投で日本代表に課せられる“ノルマ” W杯2大会連続指揮の各国監督データが示すものは?

続投が決定した森保一監督【写真:ロイター】
続投が決定した森保一監督【写真:ロイター】

【識者コラム】過去6回のW杯で指揮した192人の監督のうち、連続して同一チームを率いたのは15人

 2022年12月28日、日本サッカー協会は森保一監督と再契約すると発表した。森保監督の契約期間は次のワールドカップ(W杯)までだ。このまま順調にチーム作りできれば、森保監督はカタールで結果を出してアメリカに乗り込む。それはドーハの悲劇でアメリカW杯の夢が絶たれたという過去を完全に塗り替えることになる。

 そんな感傷的な話題はひとまずおいて置いて、W杯で2大会連続指揮を執るというのは、日本ではもちろん初めてだが、ほかの国ではどのような成績を収めているのか。

 例えばドイツ代表(西ドイツを含む)では、ゼップ・ヘルベルガー監督(故人)は1936年から1964年までチームを率い、1954年大会で初優勝を飾った。また、ヘルベルガー監督の後任、ヘルムート・シェーン監督(故人)は1978年までチームを指揮し、1974年の地元大会で優勝している。

 だが、当時のW杯はまだ本大会出場数が少なく、現在とは大会を勝ち抜くための戦略も異なっていたはずだ。そのため、現在の32か国出場になった1998年大会以降を考えてみる。

 2002年大会から2022年大会の6大会で指揮を執ったのべ192人の監督のうち、連続して同一チームの監督だったのは15人。そのうち3大会連続でワールドカップで指揮を執ったヨアヒム・レーブ(ドイツ)、ディディエ・デシャン(フランス)、オスカル・タバレス(ウルグアイ)は、多くの監督が1回限りだったことを考えると例外中の例外と言えるだろう。

 2回連続で指揮を執った12人の監督に関して言うと、実はほとんどの監督が2回目の成績は同程度かあるいは下げている。もちろん組み合わせやチームのコンディションなどの問題があるのだが、それでもやはり2回連続で結果を出すことは難しいと言えるだろう。

 だが、その中で成績を挙げているオットマー・ヒッツフェルト(スイス代表/2010年・2014年)、ロベルト・マルティネス(ベルギー代表/2014年・2018年)、フェルナンド・サントス(ポルトガル代表/2018年・2022年)、アリウ・シセ(セネガル代表/2018年・2022年)のケースを分析することで、日本の進むべき道が見えてくるかもしれない。

森 雅史

もり・まさふみ/佐賀県出身。週刊専門誌を皮切りにサッカーを専門分野として数多くの雑誌・書籍に携わる。ロングスパンの丁寧な取材とインタビューを得意とし、取材対象も選手やチームスタッフにとどまらず幅広くカバー。2009年に本格的に独立し、11年には朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の平壌で開催された日本代表戦を取材した。「日本蹴球合同会社」の代表を務め、「みんなのごはん」「J論プレミアム」などで連載中。

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