日本代表での“支配力”を失う本田と香川 タイ&イラク戦のデータから見えた現実とは

イラク戦を“支配”していた清武と原口

 試合勘がなく低調なパフォーマンスに終始した香川と本田に代わって、この2試合で存在感を高めたのがMF清武弘嗣と原口だ。ともにゴールやアシストという結果を出しており、その充実ぶりはデータ上でも表れていた。

 イラク戦においては2人とも、アディショナルタイムを含めて99分間フル出場を果たしている。Instat Indexに関しては、清武が305ポイントで1位、原口が282ポイントで2位。清武のボールロスト数15本はチームワーストだったが、キーパス数は5本すべて成功させた。攻撃のチャレンジ数は清武が15本(成功率53%)でチーム2位、原口は17本(成功率59%)でチームトップ。しかも原口は、これだけ積極的に仕掛けながらボールロスト数はわずか9回と、本田の14回を大きく下回っていた。

図3 

 本田が日本代表として、その存在感を確固たるものにしたのは2010年南アフリカ大会のことだ。そこでの日本代表のパスの3分の1以上が、本田を経由して回されるという状況だった。日本人選手の中で圧倒的なフィジカルの高さとキープ力がその状況を生んだ理由だったが、イラク戦のデータを見る限り、現状の本田にも多くのボールは集まっているがプレー精度が低く、当時のようなチーム内での“支配力”を見せることができていない。

 そして香川も、かつての輝きを失ってしまっている。それが試合勘の欠如に起因していることはデータからも明らかだろう。グループ最大の強敵である11日のオーストラリア戦に向けて、“個人”のデータを比較する限りはイラク戦でトップ下を務めた清武を引き続きスタメン起用することが得策に思えるが、“チーム”としては低調なパフォーマンスだったことをバヒド・ハリルホジッチ監督がどのように捉えるのか。攻撃陣のメンバー再構成の可能性も含めて、日本代表で築き上げてきた「実績」と照らし合わせながら、指揮官が大一番に向けてどのような判断を下すのかが注目される。

analyzed by ZONE Analyzing Team

データ提供元:Instat

【了】

フットボールゾーンウェブ編集部●文 text by Football ZONE web

田口有史 ●写真 photo by Yukihito Taguchi

 

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