【W杯】森保監督の守備的戦術は「苦渋の決断だったと思う」 反町技術委員長が評価「サポートし甲斐があった」
続投か否かについては「コメントできない」
カタール・ワールドカップ(W杯)が続くなか、ベスト16で敗退した日本代表はすでにチームを解散。次期監督については、森保一監督が続投するのか、あるいは新たな監督を招聘するのか、大きな注目を集めている。
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そうしたなか、12月12日には日本サッカー協会技術委員会の会議が行われ、日本代表の戦いぶりに関して議論が行われた。会議後にブリーフィングを行った反町康治強化委員長は、カウンター狙いの戦い方を選択した森保一監督についての評価を口にした。
日本はW杯優勝経験のあるドイツ代表とスペイン代表に、それぞれ2-1で勝利。グループEを首位で終えて決勝トーナメントに進出した。格上から金星を挙げた一方で、カウンター狙いのサッカーだったことに対しての賛否は割れている。代表選手からも、もっと主導権を握る戦い方をする必要性を訴える言葉もあった。
もっとも、森保監督も初めからボールを握ることを放棄したわけではない。反町技術委員長は、「9月までの戦い方は、カウンター狙いだけでなく、ボールを保持していくこともやっていた。それは国立でやった強豪のブラジル戦でもそう。ボール保持のパーセンテージを上げることが、勝利に近づけるという認識を持っていた」と話す。
本大会でもコスタリカ代表戦(0-1)の失点場面では、DF吉田麻也(シャルケ)が無理にボールをつなごうとしたところがミスとなり、相手にショートカウンターを決められた。その後も、スペイン戦、クロアチア戦でも、最終ラインからボールをつなごうとする姿勢は見えており、決してカウンター一辺倒になったわけではないだろう。それでも、自陣からのロングカウンターを主な攻撃の策にしたことは、間違いない。
反町技術委員長は「試合に勝たないことには、タイトルにも、目標にも届かない。苦渋の決断だったと思う」と、森保監督の決断について語り、「確率というところで、実力的には我々よりもはるかに上のチームと対峙した場合、それも選択肢の一つとして戦ったことには、プロセス含めてもちろん評価している。同時に結果に対する評価もしないといけない。それが今後の日本サッカー界につながるかどうかは置いておいて、勝負ごとにこだわりを持ち、考えた末にやった決断は評価する必要がある。それでうまくいかなかった時は、より自分や日本サッカーに、大きなダメージを食らうかもしれなかった。そういう決断をして進めたことは、特に私はサポートもしていたし、サポートし甲斐があった」と、高く評価していることを認めた。
また、こうした戦い方ができるようになった背景について、「日本の選手層も厚くなり、個も強くなってきて、全体的に良い方向に向かっている」として、「ロングカウンター頼りになったとしても、それなりのタレントがいなければ、じり貧に終わる。でも、スピードスターである前田(大然)とか、浅野(拓磨)とか、何人かの選手はそういうことができる。そういう選手も踏まえたうえでの戦略がある。そうした選手が出てきたことで、戦い方の幅が出た」と、選手の成長についてコメントした。
そのうえで、「ドイツとスペインは、どちらかというとそう(ロングカウンター狙い)でしたが、コスタリカ戦とクロアチア戦は、そうではなかった。最終的には(ロングカウンター狙いではない2試合は)勝つことができなかったという課題もある。そういうタレントがたくさん出てくれば、理想の戦い方はあるにしても、そういうこと(ロングカウンター)をやっても順応できる力があることは証明した」と、選手たちのレベルアップに応じた戦い方を選択できていることを強調した。
新監督の選定については、年内か年明けかの時期すらも「コメントできない」とした反町技術委員長だが、森保監督の手腕については、間違いなく高く評価しているようだ。