【W杯】日本代表の森保“好采配”、データ上でも顕著に システム変更後にボール保持率&パス成功率がアップ

日本代表を率いる森保監督【写真:ロイター】
日本代表を率いる森保監督【写真:ロイター】

強豪ドイツ相手に前半劣勢も、後半のシステム変更生かし2-1の逆転勝ち

 日本代表は11月23日にカタール・ワールドカップ(W杯)初戦でドイツ代表と対戦。後半のシステム変更を生かして2-1の逆転勝ちを収めたが、その改善はデータにも大きく表れている。

 初戦を迎えた日本は4-2-3-1システムを採用して臨んだが、序盤からドイツにボールを制圧された。前半のうちにPKで1失点して折り返したが、後半に入るとシステムを相手とマッチアップさせる5バックに変更し、前向きなプレッシャーをかけた。交代出場の選手も攻撃的なプレーヤーを次々に選択し、後半30分にMF堂安律、同38分にFW浅野拓磨と途中出場の選手が決めて2-1の逆転勝利を収めた。

 国際サッカー連盟(FIFA)が公開しているスタッツでは、前半終了時にドイツのボール保持率が72%、日本が17%、どちらのボールでもない状態が11%だった。それが後半終了時にはドイツが65%、日本が24%、どちらでもないボールが11%となった。プレーが切れている時間もあるために単純計算はできないが、日本の後半は30%ほどのボール保持率まで持ち直していた。

 そして何よりも攻撃を深い位置で完結できていることが現れた。ドイツのシュート数は前半に13本で、ペナルティーエリア内が5本、エリア外が8本。日本はエリア内の1本のみだった。それが、後半だけで見ればシュート数はドイツが12本で日本は10本。ペナルティーエリア内のシュート数は10本ずつの互角だった。マッチアップ型のシステムを採用したことでリスクを背負った部分も数字に出ているが、GK権田修一の踏ん張りもあり、途中出場の2人を含む日本の攻撃陣は決定力を発揮できた。

 アタッキングサードへの侵入回数では、前半にドイツが46回で日本はわずか5回だったが、後半はドイツが27回に減少して、日本は17回に増えた。中でも5レーンに分けた時に一番右のエリアから日本は11回の侵入を記録しているため、システム変更でDF酒井宏樹の推進力が生かされ、酒井からMF南野拓実への交代後もMF伊東純也が右サイドから脅威を与えたことが現れている。

 日本の前半は99本のパスで65本が成功だったが、後半は180本のパスで149本が成功と明らかに持ち直した。前半は完全に耐えるだけになっていたが、後半は欧州の所属クラブでプレーする選手たちを強気にマッチアップさせ、さらにフレッシュな交代出場の選手たちが勢いを与えた。前半のスタッツはとても1点差で終わった45分間には見えないほどのものだったが、そこを1失点で切り抜けたことも大きかったと言えるだろう。

 森保一監督によるシステム変更、選手交代の決断を伴う後半のギアチェンジが戦況を大きく変化させたことは、データ上もはっきりと表れていた。

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