鎌田インサイドハーフを推奨 森保ジャパン、“4-3-3+カウンター”がドイツ攻略の鍵

4-3-3スタートから攻勢に出る時にシステム変更か

 森保一監督の4-2-3-1システムは、ボランチが鍵を握っている。そこに攻守、特に「守」において安定感のある遠藤と守田はファーストチョイスとなるべき選手だろう。だがドイツ戦でその守田が使えないとすると、そこを誰にするか。

 守備を考えて板倉にすると、復帰したばかりの選手の活動量が心配される。田中、柴崎岳(レガネス)はむしろ攻撃の時に良さを発揮する。カナダ戦で試したように鎌田をボランチに置く手もあるが、押し込まれた時に鎌田を守備だけのために使い続けるのはもったいない。

 そう考えると、スタートではボランチを3枚、右から鎌田、遠藤、田中にして、そこから鎌田が飛び出すという4-3-3にするのがいいのではないだろうか。

 同じような形になったのがW杯アジア最終予選第8節、ホームのサウジアラビア戦だった。それまでの4-2-3-1から、守田、遠藤、田中を配置した中盤にして、3人の特性から3ボランチ気味になり、3人が交互に前に飛び出していったのだ。チームとしてはその時からの経験も積んでいる。

 攻撃の枚数は少なくなるが、日本が狙うのはカウンター。そのために足の速い選手を揃えており、もとより人数を多く攻撃に割いて主導権を握ろうという戦いではない。

 カナダ戦を見ても日本のインテンシティーの高さが90分間持つとは思えない。ドイツの勢いを受けるためにも、中盤の選手の位置を下げたところからスタートしたほうが体力も温存できる。

 ドイツの立場で考えると、初戦の日本で勝ち点3を奪い、2戦目のスペイン戦で最低でも引き分け、3戦目のコスタリカ戦は流して勝って決勝トーナメントに備えたいということになるだろう。日本戦で勝ち点1では、スペイン戦、コスタリカ戦で無理をしなければいけない可能性も出てくる。

 そのため、日本戦で試合終盤まで引き分けているようだったら、最後に攻勢に出てくるはずだ。そこで4-2-3-1、あるいは3-4-3または3-5-2に変化して対応するという策もあるのではないか。

 もっとも森保監督としては、この程度のことは当然考慮済みだろう。ドイツ戦の4日前から始まった非公開練習で、もしかしたらさらに大胆な形を試している可能性も……。森保監督だったらないかもしれないが、最後まで怪我人のコンディションの調整が続き、情報合戦が激しさを増すはずだ。

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森 雅史

もり・まさふみ/佐賀県出身。週刊専門誌を皮切りにサッカーを専門分野として数多くの雑誌・書籍に携わる。ロングスパンの丁寧な取材とインタビューを得意とし、取材対象も選手やチームスタッフにとどまらず幅広くカバー。2009年に本格的に独立し、11年には朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の平壌で開催された日本代表戦を取材した。「日本蹴球合同会社」の代表を務め、「みんなのごはん」「J論プレミアム」などで連載中。

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