日本代表は「GKが不安定に見える」 タレント力へ賛辞も…ドイツ実況者が見た森保ジャパン

不安定だったセットプレーの守備に実況も着目

 日本の先制点のシーンのような浮き球パスについても言及していた。

「柴崎(岳)からの浮き球パスに抜け出した相馬(勇紀)が、飛び出すタイミングが遅れたGKの目前でワンタッチゴールを奪いました。このシーンだけではなく、日本は浮き球のパスで守備ラインの裏を狙う攻撃がしばしば見られます。ドイツサッカー協会はしっかりとメモしておかないとダメですね。ただ得点シーン以外ではあまり効果的にチャンスに結び付いてはいませんが」

 試合を通して不安定だったセットプレーの守備はやはり、目に付いたようだ。コーナーキック(CK)やフリーキック(FK)になるたびに、指摘されている。

「日本はセットプレーの守備があまり良くないようです。CKからのボールが相手のチャンスにつながっています。GKが不安定なようにも見えます。ゴール前から飛び出してボールに触れないというのはかなり危険。ハイボールに弱さを見せています。競り合いの強さは分けて考える必要があります。足もとでの競り合いは日本が優勢でも、空中戦での勝率となるとカナダが65パーセント程の勝率。ここは水曜日(ドイツ戦)に向けて1つのポイントになりそうです」

 後半、鎌田が途中出場した時には要注意人物として取り上げられていた。

「間違いないトッププレーヤーが出てきました。鎌田大地です。それぞれの選手のクオリティーを見たら素晴らしいものがあります。鎌田のほか、フライブルクの堂安もベンチスタートでした。本来なら欠かせない選手のはず。彼らがチームとして機能して、それぞれの力を発揮し合うことができたら、相当なチームになります」

 ドイツ人実況者の声に耳を傾けて見ると、日本の選手個々への評価は決して悪くはない印象を覚える。それはドイツでプレーする選手が多いことが関係しているのはもちろん、近年、欧州リーグでプレーする選手が増えていることもあるだろう。だたし、その評価と日本代表チームの評価がイコールになるわけではない。果たして森保ジャパンは、カタールW杯で“ポテンシャルを持ったチーム”以上になれるだろうか。

(中野吉之伴 / Kichinosuke Nakano)



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中野吉之伴

なかの・きちのすけ/1977年生まれ。ドイツ・フライブルク在住のサッカー育成指導者。グラスルーツの育成エキスパートになるべく渡独し、ドイツサッカー協会公認A級ライセンス(UEFA-Aレベル)所得。SCフライブルクU-15で研修を積み、地域に密着したドイツのさまざまなサッカークラブで20年以上の育成・指導者キャリアを持つ。育成・指導者関連の記事を多数執筆するほか、ブンデスリーガをはじめ周辺諸国への現地取材を精力的に行っている。著書『ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする』(ナツメ社)、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)。

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