3バック&4バック、大幅ターンオーバーの可能性も? 森保ジャパンのカタールW杯戦術をデータから考察

4-3-3-は勝負どころで使用

【3:4-2-3-1と4-3-3をどう使い分けるのか】

 3月8日、森保監督は4-2-3-1から4-3-3(4-1-4-1)に変更したことで、どんな変化が生まれたか説明した。

「ゴール前にクロスから入る人数が増えた、ペナルティーエリアへの侵入が増えた。最終予選のスタートは守から攻に移って速攻する時に入っていく人数が少なかった」

「遅攻になった時、ポゼッション率は思ったよりも上がっていない。でも、実際は効果的な攻撃の回数はできている。やろうとすることと攻撃の回数は違うとデータ上は出ている」

「もっとポゼッション率を上げながら仕留めていけるのではないかと思っているが、ポゼッション率が上がっていなくても、言い方を変えるとボールを奪って前に行けたら行くというのが浸透してきた」

 ただし、これは「システムということではない」とも語っている。つまり、起用する選手によって変化がもたらされたということになる。そして、こういう変化を起こすために、4-3-3で2人のインサイドハーフを起用するということが考えられるはずだ。

 また、5月17日の取材で監督は「4-4-2の形は試さないのか」という質問に対して「4-2-3-1-も4-1-4-1-も状況に応じて2トップになっていることがあるので、形だけにこだわらず状況に応じて2トップ気味にやれればと思う」としつつ、「過去のデータを見てもサイドを崩されての失点が多いので、サイドのケアをして逆に攻略したい」と語っていた。

 サイドを手厚く守りたいと考えるなら、やはり2ボランチが妥当ということになるだろう。そして4-3-3は、もっとも4-2-3-1のバイタルエリアに2人を配置する形よりも、スタート地点では攻撃サイドに多くの人数を割く形になるため、勝負を賭ける時に使うのではないか。

森 雅史

もり・まさふみ/佐賀県出身。週刊専門誌を皮切りにサッカーを専門分野として数多くの雑誌・書籍に携わる。ロングスパンの丁寧な取材とインタビューを得意とし、取材対象も選手やチームスタッフにとどまらず幅広くカバー。2009年に本格的に独立し、11年には朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の平壌で開催された日本代表戦を取材した。「日本蹴球合同会社」の代表を務め、「みんなのごはん」「J論プレミアム」などで連載中。

今、あなたにオススメ

トレンド

ランキング