【ジャッジ検証】イングランド×ドイツ、2度のVAR介入→PKジャッジ変更を元主審・家本氏が称賛「正しい方向に持っていった」

イングランド戦に出場したDFシュロッターベック(写真右)【写真:ロイター】
イングランド戦に出場したDFシュロッターベック(写真右)【写真:ロイター】

ドイツ代表DFシュロッターベックの足裏タックルは「結果的に踏みつける対応に」

 もう1つは、2-2で迎えた後半34分のイングランドの攻撃シーンだ。ペナルティーエリア内で縦パスに反応したMFジュード・ベリンガムが足を伸ばしてボールに触れた際に、ドイツ代表DFニコ・シュロッターベックがコンマの差で遅れて対応。シュロッターベックの足裏がベリンガムの足首を踏みつける形となったが、主審の笛はならなかった。この事象にもVARが助言をし、最終的にシュロッターベックのファウルでイングランドにPKが与えられている。

 この場面について家本氏は「DFの選手に悪意があったわけではなく、結果的に踏みつける対応になってしまった」と考察。偶発的なプレーがファウルにつながった事象だったと見ている。一方で「明らかに主審のポジションが悪かった」とレフェリーの位置取りにも言及している。

「串刺しというポジションで、踏みつけた事象が被っていて分かりにくかったと思います。さらに言うと、ボールがクリアされたことで主審の視線が十分にファウルシーンを捉えられなかった事実もあったんじゃないかなと思います」

 家本氏は最後に「最終的には、どちらの事象もレフェリーチームで正しい方向に判定を持っていけたと思います」と総括。「レフェリーはポジションや認識の部分でやや妥当性に欠けましたが、VARが求められた仕事をしたと言えますね」と見解を示していた。

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家本政明

いえもと・まさあき/1973年生まれ、広島県出身。同志社大学卒業後の96年にJリーグの京都パープルサンガ(現京都)に入社し、運営業務にも携わり、1級審判員を取得。2002年からJ2、04年からJ1で主審を務め、05年から日本サッカー協会のスペシャルレフェリー(現プロフェッショナルレフェリー)となった。10年に日本人初の英国ウェンブリー・スタジアムで試合を担当。J1通算338試合、J2通算176試合、J3通算2試合、リーグカップ通算62試合を担当。主審として国際試合100試合以上、Jリーグは歴代最多の516試合を担当。21年12月4日に行われたJ1第38節の横浜FM対川崎戦で勇退し、現在サッカーの魅力向上のため幅広く活動を行っている。

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