日本代表の采配に「おぉ勝ちにいった!」「ええぞ!」 金田喜稔が驚嘆した訳「勝負師・森保の一面を見た」

日本代表の指揮を執る軌保監督【写真:Getty Images】
日本代表の指揮を執る軌保監督【写真:Getty Images】

【専門家の目|金田喜稔】エクアドル戦の課題を指摘「W杯に向けて不安材料だ」

 森保一監督率いる日本代表(FIFAランキング24位)は9月27日、ドイツ・デュッセルドルフで行われた国際親善試合でエクアドル代表(同44位)と対戦し、0-0と引き分けた。「天才ドリブラー」として1970年代から80年代にかけて活躍し、解説者として長年にわたって日本代表を追い続ける金田喜稔氏が、浮き彫りとなった日本の課題を指摘した一方、「おぉ勝ちにいった!」「ええぞ!」と驚いた采配を明かしている。(取材・構成=FOOTBALL ZONE編集部)

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“いい守備からいい攻撃”がハマった23日のアメリカ戦(2-0)から一転、「エクアドル戦では相手のプレスに日本が苦しんだ」と評した金田氏は、11月のカタール・ワールドカップ(W杯)に向けて浮き彫りとなった課題を指摘する。

「前線からのプレスで、いい守備からいい攻撃をアメリカ戦で見せていた日本が、エクアドル戦では逆に厳しいプレスを受けて、相手の“いい守備”を回避する能力の欠如を露呈した。相手のプレスを回避する術をチームとして見出せていないのは、W杯に向けて不安材料だ」

 エクアドル戦で苦戦を強いられた原因の1つにビルドアップを挙げ、「ボランチの田中碧と柴崎岳がどう絡んで組み立てるか注目していたが、相手のプレスを回避するための工夫や意識的な動きがさほど見られず、相手のプレスをもろに受けていた」と分析。ダブルボランチを中心としたビルドアップがスムーズさを欠いてチーム全体に影響を及ぼしたなかで、「端的に言えば、『誰がこの日本選手を見るの?』と相手が混乱するような状況を作り出せなかった。それが前半は決定的に欠けていた点だ」と続けた。

 結局、ビルドアップに問題を抱えていた前半の日本は単発の攻撃に終始し、2列目左のMF三笘薫(ブライトン)や右のMF堂安律(フライブルク)のアタッキング能力を十分に生かせず、トップ下のMF南野拓実(ASモナコ)と1トップのFW古橋亨梧(セルティック)も不発に終わっている。

「いい守備からいい攻撃へつなげるならば、どこでボールを失うかも重要で、奪われたところから即時奪還の守備が始まる。そもそも日本が相手のアタッキングサードにボールを運べなければ、即時奪還の守備は実現しようがない」

金田喜稔

かねだ・のぶとし/1958年生まれ、広島県出身。現役時代は天才ドリブラーとして知られ、中央大学在籍時の77年6月の韓国戦で日本代表にデビューし初ゴールも記録。「19歳119日」で決めたこのゴールは、今も国際Aマッチでの歴代最年少得点として破られていない。日産自動車(現・横浜FM)の黄金期を支え、91年に現役を引退。Jリーグ開幕以降は解説者として活躍。玄人好みの技術論に定評がある。

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