久保建英のCF起用、森保ジャパン“新オプション”として有効? レアル・ソシエダで躍動、日本代表での生かし方を考察

ソシエダの日本代表MF久保建英【写真:Getty Images】
ソシエダの日本代表MF久保建英【写真:Getty Images】

【識者コラム】新天地ソシエダでの起用法にフォーカス、日本代表で輝くには?

“ラ・レアル”ことスペイン1部レアル・ソシエダにおける日本代表MF久保建英のセンターフォワード(CF)起用が注目を集めている。

 チームの司令塔的な役割を担うMFダビド・シルバがトップ下。FCバルセロナとのリーガ・エスパニョーラ第2節ではスウェーデン代表FWアレクサンデル・イサクが2トップの相棒だったが、プレミアリーグのニューカッスルへ移籍したため、就任5シーズン目のイマノル・アルグアシル監督は第3節のエルチェ戦で、18歳のフランスU-21代表FWモハメド=アリ・チョーを久保と一緒にスタメン起用した。

 イサクの移籍金は5900万ポンド(約95億円)とも報じられ、ソシエダは代わりにドイツ1部RBライプツィヒからノルウェー代表FWアレクサンダー・セルロートをレンタルで獲得。夏の移籍市場がクローズする直前にさらに本職FWを補強する可能性もある。いずれにせよ、4-3-1-2というシステムにおいて2トップの一角で起用されている久保が、攻守両面でかなり効果的なプレーを見せているのは確かだ。

 プレシーズンで久保は、移籍が決まるまでの間、レアル・マドリードで過ごしており、新天地に合流してから間もない。それでもアルグアシル監督が久保の特長を把握しており、D・シルバと2トップの相棒との相互補完によって、チーム内での最適解を早くも見出した感がある。

 D・シルバやスペイン代表MFミケル・メリーノを主な中継点としたパスワークで久保はいわゆる相手ディフェンスのライン間に動いてボールを受けて、アクセントになったり、鋭い仕掛けやラストパスを狙う。そこにマークが付いてくれば、久保を囮にしてスペイン代表MFブライス・メンデスが飛び出したり、もう1人のFWがスペースで受けてシュートに持ち込んだりする。

 もちろんCFである以上、チャンスと見ればボックス内でラストパスを受ける側になることも可能だ。このポジションで継続的に使われれば、二桁得点も十分に達成可能であることを予感させる。問題は“久保のCF起用”を11月に開幕するカタール・ワールドカップ(W杯)で森保一監督が率いる日本代表にそのまま生かせるかだが、答えは残念ながらNOだ。

 CF起用と言っても久保はソシエダにおいて、特長を発揮しやすい2トップで使われていることに加えて、攻撃における戦術的なメカニズムも日本代表と“ラ・レアル”では異なる。森保監督が求めるCFは基本1トップで、最終予選で途中から採用された4-3-3でも森保監督は4-1-4-1と主張しているように、そこの役割は4-2-3-1と大きく変わらない。理想はFW大迫勇也(ヴィッセル神戸)のような前線でディフェンスを背負いながらボールを収めたり、攻撃に深さをもたらしてくれるターゲットマンだ。

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河治良幸

かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。

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