冨安健洋と大迫勇也の復活は“ハラハラ”と隣り合わせ? 日本代表が見守らなければならない「61×24+アルファ」

体調万全なら大迫は一番頼れるFW、新レギュレーションがプラスに働く可能性も

 一方の大迫はJ1リーグ戦に25節終了時点で20試合に出場しており4ゴールを挙げている。今季初ゴールはホーム・サガン鳥栖戦での小技が効いた1発で、7月は途中出場を続けながら清水エスパルス戦、ジュビロ磐田戦、鹿島アントラーズ戦と3試合連続得点も決め、ストライカーとして変わらぬ力があることを見せつけた。

 だが、こと日本代表に関して言うと大迫は苦しい。最後に日本代表でプレーしたのは2月1日のホーム・サウジアラビア戦。ワールドカップアジア最終予選では中国戦の2試合でともに1点ずつ挙げたものの、チーム内得点王は伊東純也の4点で、出場時間が大迫より短い三笘薫も2点を挙げている。

 もちろんコンディションが万全なら、森保監督にとって一番頼れるFWなのは間違いないだろう。最近のプレーを見ても高い評価を与えている。

「空中戦で上手く起点になって攻撃につなぐ、セカンドボールをいい形で味方に拾ってもらえるようにするなど、攻撃の起点になっている」

「攻から守に切り替わった時の素早い相手に対するアプローチ、いいポジションからチーム全体の守備のスイッチを入れられる、いいプレッシャーをかけられる」

 森保監督は不安も口にしている。「まだまだ見ていて強度高く動くというところは彼の中では限られるところがあるのではないのか」と、90分間を通じて強度高くプレーできないという見解も明らかにしているのだ。

 ただし、大迫には今回からのレギュレーションがプラスに働く可能性がある。交代選手が5人まで認められることになったので、90分間プレーできなくともメンバー入りすることが十分考えられるのだ。

 それでも大迫が本来の力をどこまで出せるのか、伊東や三笘が台頭しているFW陣の中で、再び大迫を中心に据えるのか、ほかの選手を生かせるように大迫を調整するのかという課題が出てくるのは間違いない。

 もっとも、冨安と大迫は日本代表にとっても大きな看板であり、この2選手を欠くということは日本代表の持つ力を100%出せなくなるということになる。そして今回のW杯の相手(ドイツ、コスタリカ、スペイン)は100%以上の力を出さないと勝てない相手でもある。

 11月初旬頃、W杯メンバー発表が行われる見込みになっている。となると、冨安と大迫に残された時間は9月と10月の2か月、61日×24時間+アルファ。今後は森保監督ならずとも2人のプレーぶりは要チェックだろう。

 それにしても試合に出てほしくもあり、出たら出たで怪我の心配もあり……。

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森 雅史

もり・まさふみ/佐賀県出身。週刊専門誌を皮切りにサッカーを専門分野として数多くの雑誌・書籍に携わる。ロングスパンの丁寧な取材とインタビューを得意とし、取材対象も選手やチームスタッフにとどまらず幅広くカバー。2009年に本格的に独立し、11年には朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の平壌で開催された日本代表戦を取材した。「日本蹴球合同会社」の代表を務め、「みんなのごはん」「J論プレミアム」などで連載中。

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