「Jリーグ選抜の2軍でも勝てたはず」 中国戦スコアレスドローで露呈した問題点を英記者が指摘

横浜FMや広島のメンバー主体の起用も疑問

 たしかに、宮市亮(横浜F・マリノス)がついに日本代表の選手として先発出場を果たしたことは、心の温まる出来事だった。かつてアーセナルに所属した男は、右サイドで目を引き付けた。しかし、平均より良かった程度のパフォーマンスでは、カタール行きの居場所を作ることはできない。特にそのポジションは、森保監督にとって多くの選択肢があるからだ。

 それ以外で、興奮するようなことは何もなかった。森保監督は香港戦で横浜F・マリノスの選手を多く起用して、中国戦では半分近くがサンフレッチェ広島の選手だった。その行為は、1つの疑問を呼ぶ。「なぜ、そんなことをしたんだ?」と。

 監督がサンフレッチェと長い期間のつながりがあったことが影響して、その判断を曇らせていないことを願うばかりだ。現在Jリーグで2位となっている鹿島アントラーズの選手が、1人も入っていないことを疑問に思った人もいるだろう。本来招集されていた武藤嘉紀(ヴィッセル神戸)の辞退があったにもかかわらず、鈴木優磨には招集がかからなかった。

 U-23日本代表の選手たちを中心に構成されて、DFジャン・グアンタイと34歳のストライカーであるタン・ロンを中心とした中国相手に、日本は攻撃面で創造性と能力に欠けていた。Jリーグ選抜の2軍であっても、この中国には楽勝できたはずだ。

 この大会に、大きな影響力はない。7月24日に豊田スタジアムで行われた試合後、誰も気にしていなかったし、それは不思議なことではない。永遠のライバルである韓国との勝たなければならない試合であっても、こんな試合のあとでは大きな意味をもたらすことはないだろう。疑問を持たなければいけないのは、将来的な大会の動向についてである。

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マイケル・チャーチ

アジアサッカーを幅広くカバーし、25年以上ジャーナリストとして活動する英国人ジャーナリスト。アジアサッカー連盟の機関紙「フットボール・アジア」の編集長やPAスポーツ通信のアジア支局長を務め、ワールドカップ6大会連続で取材。日本代表や日本サッカー界の動向も長年追っている。現在はコラムニストとしても執筆。

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