「Jリーグ選抜の2軍でも勝てたはず」 中国戦スコアレスドローで露呈した問題点を英記者が指摘

中国にスコアレスドローに日本【写真:高橋 学】
中国にスコアレスドローに日本【写真:高橋 学】

【識者の目】E-1選手権のメンバーからW杯に行く選手はいない

 日本代表は7月24日に行われたE-1選手権第2戦で中国にスコアレスドロー。サンフレッチェ広島の選手5人をスタメン起用し、ボール保持率65.4%対34.6%、シュート数20対4と中国を上回ったものの、最後の局面で精度を欠いた。かつてアジアサッカー連盟の機関紙「フットボール・アジア」の編集長やPAスポーツ通信のアジア支局長を務め、ワールドカップ(W杯)を6大会連続で取材した英国人記者のマイケル・チャーチ氏は、E-1選手権の大会意義に疑問を呈している。

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 今回の最も哀れなE-1選手権は、7月27日に終わる。この時に教えてほしいことがある。「サムライブルー」というブランド、日本における代表チームの地位が、これほど価値の低いトーナメントで示されることは滅多にないだろう。

 ここまで大会を終えて、注目すべきことは何なのか。森保一監督は、カタール・ワールドカップ(W杯)本大会への出場にほど遠い選手たちを選出しながら、2試合で全く異なる先発メンバーを選出した。おそらく、ほとんどの選手たちは、再び日本代表に選ばれることがないだろう。

 この大会は、国際試合の特別感を損なわせている。代表チームでプレーしたキャップ数を得ることは、スポーツの頂点にあるべきことであり、その時代の最高の者たちに与えられるべきものだ。

 E-1選手権、特に今大会はその価値を著しく薄めてしまっている。

 そして、日本サッカー協会(JFA)にとってさらに深刻なことは、ファンが流されずに理解していることだ。有名な青いユニフォームを身に着けている選手たちを、盲目的に追いかけることはなくなり、サポーターたちは遠ざかりつつある。

“Jリーグ選抜”が鹿嶋と豊田というアクセスも困難な土地でプレーしている時に、そうした選択を誰が責めることができるだろう。観客数が少ないのは、単純に、3軍、4軍が出場するすでに関心が失われた大会を、わざわざ人里離れた場所まで赴いて見たいと思わないからだ。

 森保監督が、この大会からほとんど利益を得られていないことは間違いない。代表チームのファーストチョイスではない選手たちのうち、どれだけの選手が監督の印象に残っただろうか。中国戦というショーを終えたあとでは、皆無であると断言できるだろう。

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マイケル・チャーチ

アジアサッカーを幅広くカバーし、25年以上ジャーナリストとして活動する英国人ジャーナリスト。アジアサッカー連盟の機関紙「フットボール・アジア」の編集長やPAスポーツ通信のアジア支局長を務め、ワールドカップ6大会連続で取材。日本代表や日本サッカー界の動向も長年追っている。現在はコラムニストとしても執筆。

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