「選手は追い込まれている」 E-1韓国戦“必勝”の崖っぷち、W杯メンバー入りテストで唯一加点したのは?

日本代表MF相馬勇紀【写真:高橋 学】
日本代表MF相馬勇紀【写真:高橋 学】

中国戦で途中出場した相馬は「部分点ゲット」

 脇坂泰斗(川崎フロンターレ)は前半は素晴らしいボールコントロールから多彩なパスを繰り出してチャンスを作っていましたが、FWが孤立するのを恐れてトップに近いところに張り付くようになり、逆にボールが回ってこなくなりました。

 橋本拳人(ウエスカ)はボールを奪って鋭い縦パスを入れるところまではありましたが、攻撃面での良さは見せずじまい。宮市亮は右サイドを突破していたものの、自らゴールに迫ることはできず、横浜F・マリノスの小池龍太とのコンビプレーもほぼないままでした。

 左サイドのサンフレッチェ広島コンビはさらにギクシャクしていて、本来オフェンシブハーフの森島司を左に配置したのは南野拓実(ASモナコ)を左サイドでスタートさせる戦術と同じ考えだったと思うんですけど、ついに機能しないで終わりました。佐々木翔を後半17分に交代させたのは問題解決のためというより、27日の韓国戦に向けたコンディション作りのためだったんじゃないでしょうか。

 香港戦で加点されていた相馬と西村は、後半36分からの出場でゴールに絡めていたら合格にグッと近づいていたんでしょうけど、ややいいところを見せられたのは相馬だけ。相馬は今回も部分点ゲットでしょう。

 ということで、選手たちは追い込まれています。チームも中国戦に勝っていれば韓国戦には引き分けても優勝だったのに、韓国から勝利をもぎとらなければ自国開催の大会でライバルチームが喜ぶ姿を祝福しなければいけなくなります。

 森保監督が代表チームでこれまで優勝に手をかけたのは2回。2019年のアジアカップ決勝と2019年のE-1選手権でした。そして、アジアカップではカタールに1-3、前回のE-1選手権では韓国に0-1と敗れ、いずれも栄冠を勝ち獲れませんでした。

 今回は「3度目の正直」なのか、「2度あることは3度ある」なのか。森保監督の「運」が気になるところです。そしてこの「ワールドカップメンバー入りテスト」は、“第3問”の韓国戦に100点満点の80点、配点されてる気がします。

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森 雅史

もり・まさふみ/佐賀県出身。週刊専門誌を皮切りにサッカーを専門分野として数多くの雑誌・書籍に携わる。ロングスパンの丁寧な取材とインタビューを得意とし、取材対象も選手やチームスタッフにとどまらず幅広くカバー。2009年に本格的に独立し、11年には朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の平壌で開催された日本代表戦を取材した。「日本蹴球合同会社」の代表を務め、「みんなのごはん」「J論プレミアム」などで連載中。

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