世界の頂点へ、新「ジャパンズ・ウェイ」にポジティブな変化 W杯優勝は1チームのみ…どう負けるかが問われる代表チームの宿命
【識者コラム】日本サッカー協会が新ジャパンズ・ウェイを発表、怒涛の言語化でまとめた力作
JFA(日本サッカー協会)が「ナショナル・フットボール・フィロソフィーとしてのJapan’s Way」を発表している。50ページにもおよぶ力作だ。以前からことあるごとにジャパンズ・ウェイという言葉は使われていたが、けっこう曖昧でフワッとした感じだった。それを怒涛の言語化でまとめ上げたのが今回のジャパンズ・ウェイということのようだ。
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まあ、もともとフワッとしたものをまとめているので、物量的にすごくなってもどことなくフワッとしている感じは否めないのだが、以前とは少し内容が変化している印象だ。
以前は「日本人の良さを発揮していこう」という感じだったと思うのだが、今回はどちらかというと「世界のトップクラスになるために必要なことをやろう」というニュアンスになっている。「日本人のサッカー」は「日本のサッカー」に改められていて、これは社会の多様性に配慮すると同時に、世界のトップを狙うには多様性が大事という認識なのだろう。
ジャパンズ・ウェイ的な考え方はかなり以前からあった。日本代表では、「日本のサッカーを日本化する」と言っていたイビチャ・オシム監督あたりから加速していったが、その前のジーコ監督の時にも日本選手の特徴を尊重しようという姿勢があり、さらにもっと前にも世界と対抗していくための日本のサッカーとは何かという問いは常にあった。
日本代表や日立の監督を務めた高橋英辰さんは、世界的に弱小国だった日本が強くなるにはどうしたらいいかという質問に、「国際結婚を増やすこと」と答えていた。ジョークとして受け止められていたが半ば本気だったと思う。強くなるには多様性が必要と見抜いていたのだろう。
西部謙司
にしべ・けんじ/1962年生まれ、東京都出身。サッカー専門誌の編集記者を経て、2002年からフリーランスとして活動。1995年から98年までパリに在住し、欧州サッカーを中心に取材した。戦術分析に定評があり、『サッカー日本代表戦術アナライズ』(カンゼン)、『戦術リストランテ』(ソル・メディア)など著書多数。またJリーグでは長年ジェフユナイテッド千葉を追っており、ウェブマガジン『犬の生活SUPER』(https://www.targma.jp/nishibemag/)を配信している。