J1リーグ「上位&下位クラブ」夏の補強ポイント 王者・川崎の“理想の強化”、札幌&磐田に潜む“穴”は?

(写真左から)谷口彰悟、ファビアン・ゴンザレス、菅大輝、マルコス・ジュニオール【写真:Getty Images & 小林 靖】
(写真左から)谷口彰悟、ファビアン・ゴンザレス、菅大輝、マルコス・ジュニオール【写真:Getty Images & 小林 靖】

【識者コラム】J1クラブから厳選、第2登録期間での補強ポイントを考察

 J1リーグは後半戦へ突入したなか、各クラブは第2登録期間(ウィンドー/7月15日~8月12日)に向けて戦力強化への動きを見せている。ここでは前半戦の戦いぶりを踏まえたうえで、今夏注目の補強ポイントを厳選して紹介する。

 選手登録は今月15日からではあるものの、事前に加入すれば新しい環境で練習参加したり、現地で試合を観たりできる。そのため、すでに動きは見られ、大きなところではガンバ大阪のFW鈴木武蔵とFW食野亮太郎というアタッカーの“ダブル獲得”、名古屋グランパスと湘南ベルマーレによる、実質トレードとも言えるMF永木亮太とMF阿部浩之の期限付き移籍などだ。

 やはり前半戦を戦ってきたなかでのタイミングだけに、各クラブの狙いが明確に見られる。

■補強ポイント考察(1):横浜F・マリノス、川崎フロンターレ

 首位の横浜F・マリノスに関してはここを絶対に補強しなければというポジションが見当たらない。ただし、8月にラウンド16、準々決勝、準決勝が行われるAFCアジアチャンピオンズリーグ(ACL)も踏まえて、DF岩田智輝など主力の負担が増しているボランチ、右のセンターバック、左右のサイドバックのうち最低2ポジションをマルチにこなせる即戦力がいたら心強い。

 もう1つ、FWマルコス・ジュニオールがコンディション的になかなか整わないトップ下もFW西村拓真の負担が大きく、そこを補強で埋めるのか、もしくは既存戦力を活用する形でしのぎながら、M・ジュニオールの復調を待つのかが焦点となる。MF喜田拓也が怪我から復帰すれば4-3-3というオプションも使いやすくなるので、そこまで緊急性は感じられない。ただ、常に高いレベルでの競争が生み出すチーム力のアップも考えると、攻撃的なMFが一枚加わる可能性もある。

 川崎フロンターレは2つの大きな悩みを抱える。1つは得点力、もう1つは後ろの層の薄さだ。センターバックに関してはDFジェジエウの戦線復帰が期待されており、そことの睨み合いの部分もある。ただ、DF山根視来の負担、左サイドバックがここに来て安定感を欠いている事情を考えると、左右両サイドバックをこなせる選手は加えたいところだ。得点力というのも一概にボックス内の勝負強さだけではない構造のズレも出てきているように感じられるので、単に強力なストライカーを獲得すれば解決とはならないかもしれない。

 理想はサガン鳥栖に期限付き移籍中のFW宮代大聖の復帰だ。前線の複数ポジションをこなせる万能型であるうえ、川崎のこともよく理解しており、ある程度の計算が立つ。しかし、いわゆる育成型ではないので、クラブ間の合意がなければ戻せない。すでに5人の移籍が伝えられる鳥栖のチーム事情を考えても、そう簡単ではないだろう。桐蔭横浜大学から来季加入が内定したFW山田新も特別指定選手として、ルヴァンカップを皮切りに、早い段階から起用されるかもしれない。

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河治良幸

かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。

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