瀬古歩夢、C大阪から海外移籍で直面した問題とは? 「監督もそこは気にしてる部分」…プレミアリーグを目指してコツコツ努力

グラスホッパーで戦う22歳DF瀬古歩夢【写真:Getty Images】
グラスホッパーで戦う22歳DF瀬古歩夢【写真:Getty Images】

【インタビュー】スイス1部グラスホッパーへ移籍「週3で語学の勉強はしています」

 プロサッカーのトレーニングは1日2時間程度で、それ以外の時間をどう過ごすかがサッカー選手として非常に重要、という話はよくされる。それこそ海外移籍を果たした選手にとっては、ピッチ以外のところでどのように順応するのか、どのような時間を過ごすのかは、海外挑戦の行方を大きく左右する。日常の生活面でストレスを抱えれば、プレーに影響を及ぼしかねない。

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 2022年1月にJ1セレッソ大阪からスイスリーグ1部の名門グラスホッパーへ移籍したDF瀬古歩夢は、言語やコミュニケーション面でどんな取り組みをしているのか話を聞いた。(取材・文=中野吉之伴/全2回の2回目)

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「週3で語学の勉強はしています。英語ですね。ただやってるけど、難しいですね。もともとがというとあれですけど、勉強は難しい。でも地道にコツコツやっていかないと。頭がいっぱいになったら、『もういいわ!』といって休憩して。でもちょっとずつでもいいからやろうと決めてるんです。やらないよりやり続けた方がいいので、自分なりに頑張っています」

 言葉のやり取りがスムーズにできなければ、監督とコミュニケーションを取るのも容易ではない。ただ簡単ではないからといってコミュニケーションを取ろうとしなければ、そこには溝しか生まれない。分からないなりにも、相手の声を聞こうという動きが双方にあることが、やはり大切になる。

「単語とかは聞き取れていると思っていて、監督がしゃべっている内容も大体分かるんですけど、やっぱり話すことができない。監督もそこは気にしてる部分ではあります。話せないと自分が言いたいことも言えないし、監督も何を言っても答えが返ってこないと思っているだろうし。そうした時に、たとえば良くなかったシーンについてビデオを一緒に見ながら、『こうした時はこうしたほうがいいぞ』というのを指摘されて。そうやったら自分も納得できる。でもまだそういうやりとりしかできていないというのはありますね。チーム戦術としてやるべきことを自分がやるだけという段階です。コミュニケーションは難しいですけど、自分でやれることをやっていかないと覚えないんだろうなと」

 言葉として伝えなければ、ちゃんと理解しているはずのことも、「あいつは分かっていない」と思われてしまうことがある。分かっていないのではなく、単純にちょっとしたミスという時でさえ、根本的なところから分かっていないと見られてしまったり、それこそ言葉のせいにされたりすれば、さすがにストレスも溜まってしまうだろう。

 瀬古にとってはチームメイトとオフタイムに遊んだりするのが1つのリフレッシュになっているようだ。

「この前は、ハヤオくん(川辺駿)が来れなくて。ひとりぼっち(苦笑)。でも、気持ちですね。ノリと勢いでなんとかしました(笑)。僕はもう乗っていく感じなので。そのへんは持っている能力だと思います」

 昨季グラスホッパーでプレーしたMF川辺駿もチームメイトとのコミュニケーションについて好意的に話をしていた。

「チームの人はみんな優しいので、それは助かっています。そんな喋れるわけじゃないけど、チームの輪に入れてくれようとしてくれるのはすごくありがたいですし、自分たちも飛び込みやすいですね。この前チームメイトと一緒にサーフィンとか行きました(笑)」(川辺)

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中野吉之伴

なかの・きちのすけ/1977年生まれ。ドイツ・フライブルク在住のサッカー育成指導者。グラスルーツの育成エキスパートになるべく渡独し、ドイツサッカー協会公認A級ライセンス(UEFA-Aレベル)所得。SCフライブルクU-15で研修を積み、地域に密着したドイツのさまざまなサッカークラブで20年以上の育成・指導者キャリアを持つ。育成・指導者関連の記事を多数執筆するほか、ブンデスリーガをはじめ周辺諸国への現地取材を精力的に行っている。著書『ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする』(ナツメ社)、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)。

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