英記者が見た森保ジャパン “野心なき”ブラジル戦のパフォーマンスに持論「日本のファンが見たい姿なのか」

「森保監督はフォワードがブラジルの守備に挑む機会をなくした」

 確かにディフェンス陣のパフォーマンスは称賛に値する。権田は素晴らしかったし、中盤の3人(遠藤航、田中碧、原口元気)はブラジルの選手たちが使えるスペースを消して、ゲームを引き締めていた。

 しかし、守備の堅さを求めるあまり、森保監督はフォワードがブラジルの守備に挑む機会をなくしてしまった。ブラジルの守護神アリソン・ベッカーを脅かす場面はほとんどなく、古橋亨梧がボールに触る場面は皆無に等しかった。南野拓実も全く個性を発揮することができなかった。

 伊東純也のスピードと右サイドでの直線的なランニングはブラジルからのプレッシャーを和らげるのに役立っていたが、このゲンクのウインガーでさえも息詰まる場面があまりに多かった。

 半年後に迫ったW杯本大会で森保ジャパンがこれまでと全く違ったプレーを見せるとは考えにくいだろう。ブラジル陣内の深い位置からプレスをかけ、正面からぶつかっていくアプローチを見せたところを除けば、このチームに強豪相手と互角に渡り合う自信があることを示すことはできなかった。

 むしろ森保監督にとってはこのチーム、あるいは監督自身にトップレベルのチームを相手に戦うための信念が欠けていることが浮き彫りとなる試合だった。おそらくこれは、日本がW杯で惨敗することなく威厳を保ったまま帰ってくるための堅実なアプローチなのだろう。

 しかし、W杯で日本が真の強豪国とどれだけ戦えるか確かめたいとは思わないのだろうか? 11人の選手で守備を固め、相手をイライラさせ、イチかバチかのカウンターで得点を狙うことはどの国でもできることだ。

 日本のファンが見たいのはそんな代表選手の姿なのだろうか。W杯予選を突破しても、グループステージで敗れてラウンド16以上に進めなくても十分なのだろうか? W杯予選を通過することが習慣になっている国であれば、これ以上の価値を求めてもいいのではないだろうか?

【読者アンケート】日本代表@ブラジル戦

マイケル・チャーチ

アジアサッカーを幅広くカバーし、25年以上ジャーナリストとして活動する英国人ジャーナリスト。アジアサッカー連盟の機関紙「フットボール・アジア」の編集長やPAスポーツ通信のアジア支局長を務め、ワールドカップ6大会連続で取材。日本代表や日本サッカー界の動向も長年追っている。現在はコラムニストとしても執筆。

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