英記者が見た森保ジャパン “野心なき”ブラジル戦のパフォーマンスに持論「日本のファンが見たい姿なのか」

1トップで出場した古橋享梧にはボールが回らない時間が続いた【写真:ロイター】
1トップで出場した古橋享梧にはボールが回らない時間が続いた【写真:ロイター】

ディフェンシブなブラジル戦の戦いに見解

 日本代表は6月6日、キリンチャレンジカップでブラジル代表と国際親善試合を行い、0-1の敗戦となった。ブラジルの猛攻を終始耐え続け、シュート数は22本対5本、枠内シュートは5本対0本と劣勢となった試合について、かつてアジアサッカー連盟の機関紙「フットボール・アジア」の編集長やPAスポーツ通信のアジア支局長を務め、ワールドカップ(W杯)を6大会連続で取材した英国人記者のマイケル・チャーチ氏は、日本の保守的な戦いに持論を述べている。

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 11月にカタールで開催されるW杯で日本代表がドイツやスペインを相手にどのような立ち振舞いをするのか見てみたい人はいるだろうか。そのためには惜敗したブラジル戦の録画を見返して、森保一監督率いるチームのパフォーマンスを細部まで観察してみるといいだろう。

 世界最高のチームを相手に対戦するにあたって日本に攻撃の勢いと冒険を期待した人たちにとって、ブラジル戦は残念な内容だった。粘り強い守備と意思の強さに溢れたパフォーマンスは見せたが、それは野心を捨て去り、負けたくないという気持ちを最優先させたものだったからだ。

 これぞ森保監督といえる保守的な戦いだった。もちろん、数日前に韓国を完膚なきまでに叩きのめした攻撃力を持つブラジル相手に守備的なプレーに徹したことは決して恥じることではない。

 パウロ・ベント監督率いる韓国はソウルで行われた試合で終始ブラジルに圧倒されていた。日本にも序盤から同じような展開になってしまうのではという懸念があったに違いない。

 前半開始早々にネイマールの技術と思考の速さが日本の守備を切り開いた場面では、ルーカス・パケタのフィニッシュの精度がもう少しでも高ければ、国立競技場は不安に包まれていただろう。

 しかし、日本は序盤の恐怖を乗り越えると、権田修一の見事なパフォーマンスもあって、ネイマールが終盤にPKを決めるまではブラジルの攻撃を寄せ付けなかった。

 0-1という結果は、特に先週ソウルで起きたことを考えればポジティブに捉えることもできるが、0-0で終わってもおかしくはなかった。野心のなさはやはり残念だった。

マイケル・チャーチ

アジアサッカーを幅広くカバーし、25年以上ジャーナリストとして活動する英国人ジャーナリスト。アジアサッカー連盟の機関紙「フットボール・アジア」の編集長やPAスポーツ通信のアジア支局長を務め、ワールドカップ6大会連続で取材。日本代表や日本サッカー界の動向も長年追っている。現在はコラムニストとしても執筆。

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