板倉滉、ドイツで芽生えた日本代表への自信と向上心 募らせる世代交代への危機感「もっと上を驚かせるような存在に」

シャルケの1部昇格に大きく貢献したDF板倉滉【写真:Getty Images】
シャルケの1部昇格に大きく貢献したDF板倉滉【写真:Getty Images】

【ドイツ発コラム】日本代表の“常連”となった板倉滉の「強い気持ち」

 日本代表DF板倉滉がプレーするシャルケはドイツ2部リーグ最終節でニュルンベルクを2-1で下し、2部優勝クラブとして1年での1部昇格を決めることができた。板倉は31試合に出場し、優勝、昇格に大貢献。攻守に慌てることなく、試合の流れを読みながらの的確なプレーがどれだけチームにとって大きな支えとなったことか。

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 板倉にとってはどんなシーズンだったんだろうか? ブンデスリーガ2部という舞台を過小評価されることもなくはない。「日本人の2部に対して見る目はどうかはわからないですけど」と前置きをしたうえで、2部で実際に戦った感想を語ってくれた。

「一言でいうと難しいよ、って。いろんなサッカーするチームがいる。僕が感じたのはサッカーの根本的なところ、球際とかフィジカルとか、そういうところが詰まったリーグかな。僕個人としてはめちゃくちゃ簡単じゃないリーグで、難しいリーグだと思った。この1年でシャルケに移籍して、僕にとってめちゃくちゃいい経験になった。プラスでしかないと思っています」

 簡単ではなかったシーズンを乗り切り、名門クラブを1部へ再び引き上げるうえで主軸として欠かせない働きをした板倉。その視線はどんどん先を見据えている。日本代表にかける熱い思いも口にしてくれた。

「もう僕達の世代が活躍していかないといけないと思っている。日本代表で試合に出て、日本を引っ張っていく存在にならないと思っています。(今シーズンは)そういう気持ちにもさせられた1年でした。『代表、代表』といわず、目の前の試合をやることが代表につながっていくと思うので、そこはブレずにこれからもやっていきたい。(クラブでも)毎試合、毎試合大事にプレーすることで、代表で試合にも出られてチャンスをつかんだと思うので、そこは変わらずやりつつ。ただ僕らの世代がここから引っ張っていく存在にならないといけないというそういう強い気持ちは持っています」

 シャルケで中心選手として芽生えた自覚やさらなる向上心。日本代表でプレーすることで培った経験。そしてヨーロッパサッカー界に身を置くものとして25歳DFは感じている危機感もある。

「やっぱり周りの世界を見ても若い選手がどんどん活躍している世界。これからの日本代表のこと、日本サッカーのことを考えたら、僕達がもっともっと試合に出て、僕達世代がもっともっと上(の世代)を驚かせるような存在になって、試合に出られるようになっていかないといけないなと強く感じています。それはもちろんシャルケで昇格、優勝できたことで自信につながっているというのは間違いないですけど、そういう強い気持ちを持っています」

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中野吉之伴

なかの・きちのすけ/1977年生まれ。武蔵大学人文学部欧米文化学科卒業後、育成層指導のエキスパートになるためにドイツへ。地域に密着したアマチュアチームで、さまざまなレベルのU-12からU-19チームで監督を歴任。2009年7月にドイツ・サッカー協会公認A級ライセンス取得(UEFA-Aレベル)。SCフライブルクU-15チームで研修を積み、16-17シーズンからドイツU-15・4部リーグ所属FCアウゲンで監督を務める。『ドイツ流タテの突破力』(池田書店)監修、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)執筆。最近はオフシーズンを利用して、日本で「グラスルーツ指導者育成」「保護者や子供のサッカーとの向き合い方」「地域での相互ネットワーク構築」をテーマに、実際に現地に足を運んで精力的に活動している。

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