元レアルのスカウトが語る“人材発掘術”と“将来性の見極め” 久保の現在地と未来は?「彼のトップレベルはこれから」

マジョルカでプレーするMF久保建英【写真:Getty Images】
マジョルカでプレーするMF久保建英【写真:Getty Images】

【現地発コラム】レアルやマジョルカでスカウトを歴任したカルロス・パニサ氏を直撃

 もはやサッカーは選手と監督が試合をするだけではない。それ以外の様々な部分で多くの人たちが情熱を傾け、生活の中で多くの時間をかけてさらなる向上を図ろうとするものになっている。下部組織の取り組みがその中の1つ。選手発掘の分野で40年近く関わり、レアル・マドリードの地域担当を13年、マジョルカのスカウト責任者を6年務めたカルロス・パニサ氏に好選手の見極め方や親と子の関わり方などについて話を聞いた。

 スカウトになるきっかけは監督として実績を出し活動の幅を広げたことでその道が開かれたという。

「18歳で10歳チームの監督として始めた。指導は私の性分にあっていたようで複数の地元クラブで良い結果を出し、国内大会で優勝したり、育成年代でスペイン代表に呼ばれる選手たちを指導した。大会に出場することでマドリードの代理人事務所と仕事をするようになり、さらにレアル・マドリードのバレアレス諸島州担当として働くことになった」

 発掘、またはステップアップに関わった選手はトップリーグでプレーする選手が並ぶ。MFセルジ・ダルデール(エスパニョール)、FWアブドン・プラッツ(マジョルカ)、FWアドリアン・ダルマウ(スパルタ・ロッテルダム/オランダ)、MFマルビン・パルク(レアル・マドリード・カスティージャ)、これまでに20人がプロ選手になった。マジョルカで仕事をしてからはFWブディミール(現在オサスナ)やDFヴァルイェント、GKレオ・ロマンの獲得にも関わっている。

 選手の将来性の見極めについては、ある程度の基準のほかに自身の経験から得た勘、さらに持論に基づいて判断している。

「まずはタレント。ボールを持って何をするかということ、2番目は試合展開を読む力、3番目はパーソナリティー、4番目はスピードやパワーといったフィジカル。これら全てがあれば最高だが、全てを備えているのは難しい。ごく稀に良い選手は生まれてくる。だがそれは100万人に1人。難しいのはその次のレベルで、以上の要素の組み合わせで将来性や潜在能力を推し量って行くことで、数年で急激に成長することがある。これは経験から判断するしかなく、見通しが当たった時にはこの仕事をやっていて一番のやりがいを感じる。一般的に選手は育てられるものだと思っている。キックやコントロール、パスやシュート……しっかり練習してきた選手たちはより準備ができていて、試合展開の理解が高い」

 育成年代では選手という競技面だけではなく、子供としての家族としての付き合い方や親の関わり方も大事なチェックポイントになっている。

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島田 徹

1971年、山口市出身。地元紙記者を経て2001年渡西。04年からスペイン・マジョルカ在住。スポーツ紙通信員のほか、写真記者としてスペインリーグやスポーツ紙「マルカ」に写真提供、ウェブサイトの翻訳など、スペインサッカーに関わる仕事を行っている。

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