W杯“死の組”の日本に勝機は? 英記者が「付け入る隙」を指摘「韓国から森保監督が学ぶことは少なくない」

スペインとドイツと同じE組に入った日本【写真:(C) JFA 】
スペインとドイツと同じE組に入った日本【写真:(C) JFA 】

ドイツでプレーする日本人には感慨深い試合に

 カタール・ワールドカップ(W杯)の組み合わせ抽選会が行われ、7大会連続出場の日本は優勝経験を持つスペインとドイツと同じE組に入った(残る1枠はニュージーランドとコスタリカの勝者)。日本にとっては“死の組”となるなか、かつてアジアサッカー連盟の機関紙「フットボール・アジア」の編集長やPAスポーツ通信のアジア支局長を務め、W杯を6大会連続で取材した英国人記者のマイケル・チャーチ氏は各国の状況に触れ、「日本には苦しい戦いになる」と分析している。

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 森保監督とサムライブルーが本大会で躍進し、史上初の8強を目指すとするなら、今回の抽選結果で険しいの道を歩むことを余儀なくされた。最大のチャレンジと呼べるだろう。

 11月23日にドイツ、同27日にニュージーランドとコスタリカの勝者、12月1日にスペインと激突する森保ジャパン。ドイツ、スペインという名門国と対戦する厳しさは言うまでもない。第4ポットはニュージーランドとコスタリカの勝者が入るが、最終予選で安定感を増してきたコスタリカも簡単な相手ではない。ニュージーランドが勝ち上がったとして、最終予選で不安定さを露呈し続けた森保ジャパンにとって組みやすい相手とは言い切れない。

 東京五輪に出場していた選手たちはスペイン代表とすでに真剣勝負で戦っている。ルイス・エンリケ監督は最近のメンバー選考で、バルセロナのペドリを筆頭により若くダイナミックなタレントを選出している。ウナイ・シモン、ダニ・オルモ、エリック・ガルシア、パウ・トーレスという東京五輪準決勝で日本を破ったメンバーは「ラ・ロハ」(赤色の意/スペイン代表の愛称)の常連となっている。

 多様性あふれるタレント軍団だ。アンス・ファティ、コケ、フェラン・トーレス、そして、17歳の新鋭ガビに、アルバロ・モラタ、マルコ・ジョレンテというベテランも名を連ねる。監督もそもそも世界最高の名将の1人で、優勝候補と呼ぶにふさわしいチームだ。

 ドイツとの初戦(11月23日)はただただ心が折れそうになる。スペイン同様に世界的名将の呼び名がふさわしいハンジ・フリック監督が率いる強豪国はそのタレントパワーからも優勝候補だ。

 フリック監督は20年のUEFAチャンピオンズリーグ(CL)でバイエルン・ミュンヘンを栄光に導き、国際的な評価を一気に高めた。14年W杯でドイツ代表のコーチングスタッフ入りもしており、最大の舞台もすでに経験済みだ。すでにジェローム・ボアテングなどベテランから世代交代を進め、チームの若返りを図っている。

 MF遠藤航(シュツットガルト)やDF板倉滉(シャルケ)らブンデスリーガでのプレー経験者にとっては感慨深い試合になるだろうが、感傷的になる暇はない。昨年3月のW杯予選で北マケドニア代表によもやの黒星を喫している。レーブ政権での不覚だが、付け入る隙がないわけではない。

 18年のロシアW杯ではグループリーグ最終戦で韓国代表に敗れ、決勝トーナメント進出に失敗した過去もある。シン・テヨン監督の率いた韓国代表の戦いから森保監督が学ぶことは少なくないだろう。

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マイケル・チャーチ

アジアサッカーを幅広くカバーし、25年以上ジャーナリストとして活動する英国人ジャーナリスト。アジアサッカー連盟の機関紙「フットボール・アジア」の編集長やPAスポーツ通信のアジア支局長を務め、ワールドカップ6大会連続で取材。日本代表や日本サッカー界の動向も長年追っている。現在はコラムニストとしても執筆。

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