ホーム通算750ゴール達成も敗戦 清水の選手たちが“逆襲”に向けて内に秘める悔しさ
【J番記者コラム】C大阪戦でホーム通算750ゴール達成も試合には敗戦
1993年5月19日第2節のサンフレッチェ広島戦でMFトニーニョが決めたホームゲームチーム第1号から30年目にして、ホーム通算750ゴールが生まれた。“オリジナル10”では鹿島アントラーズが2015年にいち早く達成しているが、清水も遅ればせながら2022年のJ1リーグ第4節セレッソ大阪戦(1-3)の一時同点弾が記念ゴールとなった。
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試合は立ち上がりからC大阪ペースで進み、何もやらせてもらえなかった前節の横浜F・マリノス戦同様に前線からプレスにくる相手に対して苦しみ、ビルドアップもままならないなか、前半45分にオウンゴールで先制点を許して後半へ折り返した。
しかし、嫌な流れを引き戻したのはJ1リーグ初先発となったMF高橋大悟だった。約2年半のギラヴァンツ北九州への期限付移籍では加入後の14試合のすべてで先発出場し、4位だったチームをJ3優勝、J2昇格に貢献。翌シーズンは「10番」を背負い、チームの中心選手として41試合に出場して9ゴールを挙げ、J2昇格初年度のチームを5位へ導いた。そして2021年シーズンは全試合に出場し、10ゴールを挙げるもののチームはJ3へ降格となってしまった。この経験を生かし成長した姿を見せるために今シーズンは清水に復帰したが、ここまでの3試合ではすべて途中出場となり、目立った活躍はできずにいた。
チームスタイルの違いはあるが、北九州時代は「自分がチームを引っ張る」、「自分がやらなければ」という強い気持ちが見えていたが、清水ではシュートを打てる場面でもバスを選択するなどどこか遠慮がちのプレーが続き、高橋らしいハツラツとプレーする姿がなく、ここまでのリーグ戦でのシュートも0本だった。試合前には「周りに合わせようと気を使い過ぎているかも。もっと自分のプレーをしなくては」と話していた高橋だったが、この試合の後半9分にMF神谷優太の意表を突いたスルーパスに反応。ペナルティーエリア内でのスライディングシュートがプロ5年目のJ1初ゴール、清水ホームゲーム通算750ゴールとなり、貴重な同点ゴールを決めてスタジアムを活気づけた。
下舘浩久
しもだて・ひろひさ/1964年、静岡市(旧清水市)生まれ。地元一般企業に就職、総務人事部門で勤務後、ウエブサイト「Sの極み」(清水エスパルス応援メディア)創設者の大場健司氏の急逝に伴い、2010年にフリーランスに転身。サイトを引き継ぎ、クラブに密着して選手の生の声を届けている。