浦和FW明本の“退場劇”、番記者の見解は? チームを苦境へ招きかねない“勿体ない行為”

浦和FW明本考浩(写真左)が神戸DF小林友希との競り合いからヒートアップ【写真:高橋 学】
浦和FW明本考浩(写真左)が神戸DF小林友希との競り合いからヒートアップ【写真:高橋 学】

【J番記者コラム】神戸DF小林へ乱暴行為、一発レッドで退場処分シーンに見解

 浦和レッズのFW明本考浩は、2月23日にヴィッセル神戸をホームに迎えたリーグ戦の後半13分、相手DF小林友希との小競り合いで喉元を手で押して倒してしまい、退場処分になった。試合後にリカルド・ロドリゲス監督が「試合の転換期」と話したように、チームの結果に大きく影響を与えるプレーになってしまった。

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 浦和は先制点を奪われたものの前半のうちに逆転して2-1のリードを奪っていた。そのなかで問題のプレーが起きた。カウンターで抜け出しかかった明本を神戸DF小林友希がファウルで止めた場面で、ホイッスルでプレーが切れた後に明本が小林に手を出してしまった。木村博之レフェリーは小林に警告、明本に退場処分の判定を下し、浦和は10人でのプレーを余儀なくされた。

 試合後の公式記録を見ると、小林には「C1、反スポーツ的行為」、明本には「S2、乱暴な行為」とカードの理由が示されている。そのことからも、小林には大きなチャンスを反則によって止めたプレーによるイエローカード、明本にはその後の行為によりレッドカードが提示されたことが明らかになっている。

 浦和は、本来ならストライカーとして最も期待されるFWキャスパー・ユンカーが十分なコンディションになく、MF小泉佳穂もキャンプ後半が別メニューだったようにトップフォームではないと見られ、前線は明本とMF江坂任に掛かる負担が大きくなっている。特に、チームのなかで最も相手を背負ったプレーのできる明本は、12日の富士フイルム・スーパーカップ、19日のリーグ開幕戦の京都サンガF.C.戦、そしてこの神戸戦と、背後から相手選手に厳しく寄せられる場面は目立っている。

 そして、Jリーグ全体として「激しくて、フェアで、エキサイティングなリーグ」というテーマがあるなかだが、腕など上半身で相手のプレーを制限する行為もかなりのところまで認められているように見える。神戸FW武藤嘉紀に浦和MF伊藤敦樹が仕掛けたスライディングは、武藤の足を払った後にボールにコンタクトしていたが、ノーファウルだった。そのジャッジの妥当性はさておき、明本を含め各チーム前線の選手たちがフラストレーションを溜めやすい状況にあるのは理解できる部分がある。

 一方で、明本がそのイライラを手を出すことで表現してしまったのは非常に勿体ない行為であり、レッドカードの判定は正しいものだ。それによって攻勢にゲームを進めていた浦和は残り時間で完全に守り切るための戦いを強いられ、同点ゴールを奪われた。「たら、れば」を言っても仕方ないが、明本が退場しなければ浦和が勝利した確率は高かったとは言えるだろう。

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