【J1全クラブ最新布陣】横浜FMは3年ぶりの優勝が目標 堅実補強の福岡と清水の完成度は?

横浜F・マリノスMF喜田拓也、清水エスパルスGK権田修一、アビスパ福岡MFクルークス【写真:小林 靖 & Getty Images】
横浜F・マリノスMF喜田拓也、清水エスパルスGK権田修一、アビスパ福岡MFクルークス【写真:小林 靖 & Getty Images】

【識者コラム|Part2】横浜FM、福岡、清水の新シーズン補強動向&最新予想布陣を紹介

 J1の各クラブは、2022年シーズンに向けて新たな陣容でスタートを切る。このオフを経て、昨季からどう生まれ変わったのか。補強動向を踏まえながら、Part2では横浜F・マリノス、アビスパ福岡、清水エスパルスの新シーズン予想陣容を紹介する。

■横浜F・マリノス/昨季成績
J1リーグ:2位(勝ち点79/24勝7分7敗)
ルヴァン杯:プレーオフステージ敗退
天皇杯:2回戦敗退

【今オフ補強動向】
 昨季23ゴールを挙げた日本代表FW前田大然をはじめ、MF扇原貴宏、DFティーラトン、MF天野純といった主力クラスが退団。簡単な状況ではないが、J2のFC町田ゼルビアで昨季10得点10アシストのMF吉尾海夏が復帰、パリ五輪世代の主軸候補であるMF藤田譲瑠チマ(←徳島ヴォルティス)、得点感覚に優れるFW西村拓真(←ベガルタ仙台)、左足のクロスに絶対の自信を持つDF永戸勝也(←鹿島アントラーズ)など、実力者が加入した。前田の後釜として期待される西村もキャンプの感触として、いろんなところから好パスが出てくる横浜FMの環境であれば、ゴール量産も可能と考えているようだ。

 DFチアゴ・マルチンスの移籍話が進む最終ラインは鳥栖からDFエドゥアルドを獲得。チアゴの守備力はそれでも埋めがたいが、エドゥアルドには良質な左足のフィードと豊富な経験に裏打ちされた統率力がある。朗報としては、昨年怪我をしたDF畠中槙之輔が順調な回復ぶりで、開幕に間に合う可能性が出てきたことだ。畠中とエドゥアルドによる“左右の発射台”から効果的な縦パスが入れば、前線に推進力のあるアタッカーを揃える攻撃は鋭さを増すはずだ。

 さらに、攻守のセンスを兼ね備えるDF小池裕太(←セレッソ大阪)も永戸との使い分けで重宝しそう。“武者修行先”のモンテディオ山形から復帰した19歳のMF樺山諒乃介は将来の海外挑戦を見越して、インサイドハーフやトップ下で勝負していく意思が強いようだ。またアンダーカテゴリーの代表に名を連ねるMF山根陸も非凡な技巧派タレントで、過密日程のシーズンで早期の台頭も期待される。そして、FWアンデルソン・ロペス(←武漢FC)の加入が決定した。昨年は北海道コンサドーレ札幌で前半戦だけで12発を叩き込んだ大砲がゴール量産となればリーグ優勝は大きく近づく。

■主な獲得選手
【Pos./選手名/前所属】
FW 西村拓真 ベガルタ仙台
MF 藤田譲瑠チマ 徳島島ヴォルティス
MF 山根陸 横浜F・マリノスユース
DF 永戸勝也 鹿島アントラーズ
DF 小池裕太 セレッソ大阪
DF エドゥアルド サガン鳥栖
GK オビ・パウエル・オビンナ 栃木SC

■主な放出選手
【Pos./選手名/移籍先】
FW 前田大然 セルティックFC(スコットランド)※レンタル
FW 杉本健勇 ジュビロ磐田
MF 天野純 蔚山現代FC(韓国)
MF 扇原貴宏 ヴィッセル神戸
DF 和田拓也 横浜FC
DF ティーラトン ブリーラム・ユナイテッドFC(タイ)

【22年シーズン陣容の注目ポイント】
 目標は3シーズンぶりのリーグ優勝だ。“打倒川崎”にほぼ等しいチャレンジになるが、それを実現するにはケヴィン・マスカット監督の下で攻撃スタイルのブラッシュアップに加えて、新加入選手のスムーズなフィットが求められる。

 ACLを含むタイトル獲得を狙ううえで、最大の懸念材料は守備の要だったチアゴ・マルチンスのニューヨーク・シティ移籍の話が進行していること。エドゥアルドも対人は弱くないが、チアゴの理不尽なまでのカバーリングと跳ね返し能力が失われるなかで、ハイラインをどうリスク管理していくか。

 ただし、怪我で昨シーズンの後半戦を棒にふった畠中が開幕に間に合えばエドゥアルドとJ屈指のセンターバック(CB)コンビになることは疑いない。昨シーズンの終盤にはCBとして支えたDF岩田智輝もボランチでの起用が可能になる。扇原と天野が去った中盤は新加入の藤田にも期待だが、日本代表の合宿にも招集されたMF渡辺皓太は主力というより主軸としての活躍が求められる。本人も代表基準を頭と身体に注入して自チームに復帰。中心としてマリノスを優勝に導きたいと意気込む。FWマルコス・ジュニオールやFWレオ・セアラ、FWエウベルといった良質な外国人アタッカーは引き続き頼りになる。

 前線は西村、さらに昨年札幌で前半戦12得点のアンデルソン・ロペスが加わった。従来のシステム通りなら1トップはレオ・セアラ、西村、アンデルソン・ロペス、ンダウ・ターラによる競争になるが、場合によっては2トップも可能な陣容だ。吉尾と樺山が復帰した攻撃のスカッドは川崎にも引けを取らないだけに、中盤の再構築と”脱チアゴ”の守備構築がタイトル獲得に欠かせないポイントだ。

河治良幸

かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。

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