京都が12年ぶりのJ1昇格を果たせたワケ プロホペイロが見た曺監督の“熱くて優しい”人柄
【インタビュー#1】京都ホペイロ松浦紀典氏が感じた「監督:曺貴裁」の凄み
京都サンガF.C.は2021年シーズン、J2リーグ2位(24勝12分6敗)の成績を残し、J1昇格の目標を果たした。12年ぶりのトップリーグ復帰が実現した最大の要因は、指揮1年目となった曺貴裁監督の絶妙なマネジメント術といっても過言ではないだろう。2017年からプロホペイロとしてチームを支えてきた松浦紀典氏に、シーズンを振り返ってもらった。(取材・文=Football ZONE web編集部・小田智史/全2回の1回目)
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ホペイロの松浦氏が、曺監督と「指揮官・スタッフ」の関係で仕事をしたのは2021年シーズンが初めてだが、最初の出会いは2016年までさかのぼる。名古屋グランパスのホペイロを務めていた当時、J1残留を懸けた2ndステージ最終節の相手が曺監督率いる湘南ベルマーレだった。
「湘南さんはJ2降格が決まっていて、グランパスにとっては命運を懸けた試合。湘南さんはベストメンバーで、本気でぶつかってきました。結果的にグランパスは1-3で敗れてJ1残留を果たせませんでした。瑞穂公園陸上競技場(パロマ瑞穂スタジアム)でのホーム最終戦で、両チームが通る出入口のところで僕が号泣しながらセレモニーの準備をしていたら、曺さんから肩を叩かれて、『悪かったな』と言われました。対戦相手のスタッフを労う監督さんはなかなかいません。その時はお互いに面識はありませんでしたが、本当に素晴らしい監督だなと、すごく心を打たれました」
曺監督が京都の指揮官に就任して挨拶をかわす際、その話をしたという松浦氏。「『あの時はありがとうございました』と言ったら、曺さんはまったく覚えていませんでした。『そんなこと言ったの?』みたいな」と笑顔で振り返るが、「すごく熱くて優しい」という印象は、実際に一緒に仕事をしてみても変わることはなかった。
「曺さんはスイッチのオン・オフがある方。ピッチ内は選手にもスタッフにも本当に厳しくて、ピッチから離れるとすごく優しい。1つのジャッジに対する姿でも、試合に懸けていることが伝わります」