平岡エスパルス“らしさ”で5試合ぶりの勝ち点3 チームに変化を与えた指揮官の手腕

自力でJ1残留できる権利があることをプラスに

 選手、スタッフ、そして、今シーズン初のチケット完売となってチームを後押ししたサポーターが一丸となって掴んだ勝利だった。試合前には2019シーズン以来となるチームがスタジアムに到着する際に「バス待ち」をして士気を高めた。そのバス待ちをするサポーターの後ろには18年に「サッカーを愛する静岡、清水の皆さんにエスパルスの優勝を届けたい」とクラブに復帰を果たし、再建を進めるも、同年11月23日に志半ばで急逝された久米一正元GMの3回目の命日が近いということで「これからも久米さんと共に」という横断幕も掲げられていた。

 来年にはクラブ創立30周年を迎える清水は、これまでの歴史の中で様々な人たちが関り、今も多くのサポーターやパートナーに支えられていることを実感した試合でもあった。

 今節の結果で、来季J2へ降格する3チームが決定してしまったが、サッカーを愛し、同じJリーグのクラブを愛する者としては選手、スタッフ、サポーターの涙を見るのは辛いことだ。今シーズンも残り2試合となり、降格するチームは「1」となったが、自力で残留できる権利があることをプラスに捉えたい。

 次節の浦和レッズ戦は、アウェーでの一戦。埼玉スタジアムでの「対浦和」での勝利は、2013年まで遡らなければならない。完全アウェーの中ではあるが、スタジアムには入れないサポーターが後押ししていることを忘れずに、怯むことなく勝利を掴み獲って欲しい。

下舘浩久

しもだて・ひろひさ/1964年、静岡市(旧清水市)生まれ。地元一般企業に就職、総務人事部門で勤務後、ウエブサイト「Sの極み」(清水エスパルス応援メディア)創設者の大場健司氏の急逝に伴い、2010年にフリーランスに転身。サイトを引き継ぎ、クラブに密着して選手の生の声を届けている。

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