EURO“24カ国”出場の功罪 GS最終戦まで白熱も「引き分け率30.5%」は96年大会以降で最高

「1勝2敗」より「3分」の価値が高まる

 大会が始まる前から、1位通過や準決勝以上を視野に入れるようなシード国以外は、まずは決勝トーナメント進出が目標になる。そうなった時に、勝ち点4の3位なら安全圏に近く、勝ち点3の3位は不安定な状況になることは予想できたはずだ。すると、仮にシード国に敗れても同等の対戦相手との2試合で1勝1分の結果を残せば、グループステージを突破できる確率が高いということは予想できただろう。また、シード国を相手に引き分けを勝ち取れば、かなり優位な状況が生み出されるフォーマットになっていた。

 実際に、今大会において3位の6チームを比較した時に、勝ち点4の2チームは危なげなく突破。勝ち点3の4チームのなかで下位2チームとなって敗退の憂き目にあったのは、A組のアルバニアとD組のトルコだった。その要因は、1勝2敗という成績によって得失点差がマイナスに転じたことだ。F組で苦しんだポルトガルは3戦連続のドローとなったが、当然のように得失点差はプラスマイナスゼロ。この結果、1勝よりも3引き分けの方が価値が高いという状況を生み出した。

 そして当然、出場国が増えたことによりグループステージで強豪国同士が対戦する可能性は低くなった。今回、最大の“死のグループ”と呼ばれたのはイタリア、ベルギー、アイルランド、スウェーデンが入ったE組だった。しかし、前回大会までの16カ国の時に発生したグループであったならば、楽なグループとは言われないだろうが、標準的な組分けというレベルではないだろうか。そうした要素もまた、2位、3位を狙うチームが引き分けという結果を許容しやすかったのだろう。

 

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