川崎&横浜FM「2強体制」の行方は? Jリーグ史に残る優勝争い「デッドヒート3選」

2017年は“猛追”した川崎が鹿島を逆転して悲願の初優勝

■2017年:川崎フロンターレ&鹿島アントラーズ

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 JリーグがDAZNと大型契約をかわしたことで、3年ぶりに1ステージ制が帰ってきただけに、メディアやサッカーファンの期待感は例年以上に大きかった。そのなかで下馬評では前シーズン最多勝ち点ながらチャンピオンシップで優勝を逃していた浦和レッズと、王者の鹿島アントラーズを優勝に推す声が多かった。

 しかし、鹿島はACLのラウンド16敗退という結果を受けて、石井正忠監督を解任。コーチから昇格した大岩剛新監督の下、9試合で8勝1分の好成績で首位に。一方で、風間八宏体制から鬼木達新監督がチームを引き継いだ川崎フロンターレは、虎視淡々と上位につけた。同じく鹿島を追っていた柏レイソルが終盤に脱落すると、初タイトルを目指す川崎はACL準々決勝で浦和に敗れ、ルヴァンカップ決勝でもセレッソ大阪に屈し、悲願のタイトル獲得をJ1リーグにかける形で第33節の浦和戦を迎える。

 引き分けでも優勝の可能性が消える試合で、エースストライカーの小林悠が貴重な先制ゴールを決めると、“ウノゼロ”の勝利で勝ち点差を「2」として最終節に望みをつないだ。鹿島はジュビロ磐田との伝統の一戦に勝利すれば、川崎の結果に関係なく優勝を決められる状況だったが、西大伍の負傷交代や植田直通のゴールが味方のファウルという判定で取り消されるなど、ツキにも見放される形でスコアレスドローとなった。

 一方で逆転優勝を狙う川崎は降格が確定していた大宮アルディージャを相手に、阿部浩之の先制点を皮切りにゴールを重ねて5-0と大勝。鹿島と同じ勝ち点72ながら、得失点差でクラブ史上初タイトルがリーグ優勝となった。なお川崎の優勝を前線から牽引した小林悠は23得点で、22得点の杉本健勇、20得点の興梠慎三を抑えて得点王に輝いた。

 3位はセレッソ大阪の勝ち点63で、川崎と鹿島が勝ち点「9」の差をつけていた。これまでの1ステージ制における2強のデッドヒートとしては3位以下を最も引き離したシーズンだが、今シーズンの川崎と横浜F・マリノスはさらに大きく引き離しており(第26節終了時で2位横浜FMと3位ヴィッセル神戸の勝ち点差は15)、2017年を超える“2強”体制を続けるのか、終盤に追いすがるチームが出てくるのかどうかも見どころだ。

(河治良幸 / Yoshiyuki Kawaji)



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河治良幸

かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。

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