「疑問が残る」 森保監督の采配を金田氏が検証、東京五輪での戦いは「受け身すぎた」
「規律の高いチームを作り上げた」ことは評価も、試合中の修正力に物足りなさ
日本サッカー史に燦然と輝く1968年メキシコ五輪の銅メダル――。この金字塔を超えるべく“最高の準備”をしてきた森保一監督率いるU-24日本代表だったが、歴史を塗り替えることはまたしてもできなかった。2012年ロンドン五輪以来のベスト4に進出しながら、準決勝でスペインに延長戦の末に0-1、3位決定戦ではメキシコに1-3と敗れ2連敗。9年前と同様、メダルを目前にしながら手が届かなかった。
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「天才ドリブラー」として1970年代から80年代にかけて活躍し、解説者として長年にわたって日本代表を追い続ける金田喜稔氏は、今大会の日本を「世界一準備したチーム」と評する。各国代表が所属クラブに対して選手招集の強制力を持たず、ベストメンバーを組めないチームが多いなかで、日本はMF久保建英やMF堂安律らをはじめ、オーバーエイジとしてDF吉田麻也、DF酒井宏樹、MF遠藤航の招集に成功。自国開催の東京五輪に向けて、歴代最高と言える万全の態勢を築き上げた。
そんなチームを率いる森保監督について、金田氏は「長期間同じメンバーで活動するなかで、選手のモチベーションを下げずに指揮した」と分析。「チームの誰が出ても守備に貢献し、1対1の局面で戦う規律の高いチームを作り上げた」と、確固たるチームの土台を作ったことを評価している。
ピッチに立つ全員がハードワークできるチームだからこそ、グループリーグ3連勝という素晴らしい結果を手にできたと言えるが、一方で決勝トーナメントに入ってからの3試合では、延長戦も含めて330分間を戦い、わずか1得点とゴール欠乏症に苦しんだ。上手くいかないなかで、いかに試合中に修正していくかという部分で、金田氏は「僕の中では森保監督の采配は非常に遅いし、相手の戦術に対する対抗策がピッチ上でなかなか見られない」と感じているという。
「森保監督の人間性は素晴らしいし、今大会でもチームをベスト4に導いたのは、選手全員に攻守にわたるハードワークを植えつけた、その手腕があってこそだろう。ただ、2019年アジアカップ決勝のカタール戦の頃から感じていることだが、試合中の相手の戦術的な変化や何か上手くいかないことが起きた時の采配が受け身すぎる。例えば、相手が日本の攻撃のキーマンである堂安と久保を徹底的にケアしてきた時、それに対して試合中にどう対抗するのかという策が見えなかった。相手の出方を見たうえでのシステム変更などの戦術的な選択肢、選手の配置を変えることによって異なるコンビネーションを生かしていくという共通理解を、選手にしっかりと提示できていたのかというところには、個人的には疑問が残っている」