日本の「あってはならないミス」と称賛に値する敵将采配 英記者がNZ戦の苦戦を分析

不可解だった上田のベンチスタート「林は誠実な努力家だが…」

 フランス戦で素晴らしいパフォーマンスだった上田を、森保監督がベンチスタートに戻したのは不可解だった。代わりに起用された林大地は、遠藤がミスをした場面でクロスを供給した以外はほとんど何もできなかった。

 林は誠実な努力家だが、上田のほうが前線によりフィジカルな要素をもたらすことができ、ニュージーランドの頑丈なバックラインを相手にするには好ましい選択だっただろう。もちろん、この決断の背景にはフィットネスの問題があるかもしれないが、スペイン戦では間違いなく上田がファーストチョイスになるだろう。

 スペインは日本と同様に、コートジボワールと延長戦を戦った後で、疲労困憊の状態で火曜日の準決勝に臨むことになる。だが、ニュージーランドのダニー・ヘイ監督が採用しているフィジカルな戦術よりも、ヨーロッパ人が好むよりオープンで、ポゼッションベースの試合のほうが日本には合っているかもしれない。

 ヘイは、限られたリソースのなかでチームを作り上げる必要があった。リーズ・ユナイテッドの元ディフェンダーは最小限のタレントで、勤勉で誠実、そして決断力のあるチームを作り上げた。この試合で彼らが得たものは少なかったかもしれないが、彼の仕事は称賛に値するものだった。

 それとは対照的にタレントにも恵まれた日本はボールを支配し、テンポ良く多くのチャンスを作った。勝利に値する試合をした。彼らに対する最大の批判といえば、PK戦に持ち込むべきではなかったということだろう。

 次の相手は森保監督と選手たちがよく知るスペインだが、オリンピック直前の親善試合で対戦した時よりも大きな挑戦となるはずだ。あの試合では、日本は前半の45分間で印象的なプレーを見せたが、ペドリが登場した後半はルイス・デ・ラ・フエンテ監督が持つリソースが際立っていた。

 準決勝は国の名誉が懸かった注目の試合になるはずだ。日本が夢の決勝戦にたどり着くためには、しっかりとリカバリーし、さらに大きく成長する必要があるだろう。

(マイケル・チャーチ/Michael Church)



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マイケル・チャーチ

アジアサッカーを幅広くカバーし、25年以上ジャーナリストとして活動する英国人ジャーナリスト。アジアサッカー連盟の機関紙「フットボール・アジア」の編集長やPAスポーツ通信のアジア支局長を務め、ワールドカップ6大会連続で取材。日本代表や日本サッカー界の動向も長年追っている。現在はコラムニストとしても執筆。

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