東京五輪“最終選考”に影響? U-24代表、異例「兄弟対決」の注目は“中1日”の起用法

A代表戦は欧州組中心? ポイントはOA3人と国内組を融合させるタイミング

 今回、U-24代表は5月31日から活動をスタートし、5日にU-24ガーナ代表、12日にジャマイカのA代表と対戦する予定が組まれているが、試合でのアピール機会を考えた場合にGK4人、オーバーエイジ3人を含むフィールドプレーヤー23人に出場時間を与えて、組み合わせなどもチェックするには試合数が多いほうがベターだ。無論、中1日というのは大人の試合としては間隔が短すぎるため、遠藤が語る通り、事実上、2チームに分けるような起用法で出場時間も調整されるはず。少なくともスタメンはほぼ総替えだろう。

 今回の大きな目的の一つにDF吉田麻也(サンプドリア)、DF酒井宏樹(マルセイユ→未定)、遠藤航という3人の“オーバーエイジとU-24世代の融合”がある。ただ、世代の融合と言っても、FW食野亮太郎(リオ・アヴェ)を除く9人の欧州組は5月28日に行われたアジア2次予選のメンバーとして活動しており、すでに1週間以上も一緒に過ごしていたため、主には31日から合流した国内組との融合を図る意味がより大きい。

 しかしながら国内組には30日にJリーグの試合に出た選手が多く、合流して実質2日間しかまともなトレーニングができない事情を考えても、A代表との試合はオーバーエイジの3人とともに、ミャンマー戦に参加していたメンバーがメインになるのは間違いないところだ。

 言い換えると3日の試合に欧州組のメンバーを多く出してしまうことで、より国際的な対応力が問われるガーナ戦に国内組の選手たちをより多く、長く出すことができる。今回のスケジュールだけを考えれば、A代表に合わせられた感の強いU-24側の大きなメリットはここにあるわけだ。

 ただし、国際的な対応力のチェックとは別に、やはり国内組もオーバーエイジ3人との組み合わせをチェックする必要があることを考えると、U-24代表の横内監督が彼ら3人を3日の試合でフル出場させ、後半にU-24世代の国内組と組み合わせるのか、それとも前半だけで交代し、改めてガーナ戦でも彼らを起用する方式を取るのか、プランニングが問われる。

 その一方で、東京五輪の18人枠を考えた場合に、決勝まで過密日程で6試合こなすことを考えると、オーバーエイジがいるポジションでも複数の戦力が必要で、その意味では最終選考として改めてオーバーエイジ以外の組み合わせをチェックすることも決してマイナスにはならない。

 オーバーエイジ3人も含め、日頃から欧州のリーグでアフリカ系の選手とも真剣勝負を行っている欧州組よりも、できるだけ多くの国内組がガーナ戦に出て経験、そしてアピールするほうがはるかに有意義であることを考えれば、A代表との試合で前後半を含めてオーバーエイジとの組み合わせをチェック、ガーナ戦はオーバーエイジの出場も限定的にして、ちょうどコンディションも良くなる国内組に多くのチャンスを与える配分がベターか。

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河治良幸

かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。

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