「正しい道」を歩む清水とホーム未勝利の悪夢 “ロティーナ戦術”の開花はすぐそこに?

清水のディフェンスラインを統率するDF立田悠悟【写真:Getty Images】
清水のディフェンスラインを統率するDF立田悠悟【写真:Getty Images】

【J番記者コラム】湘南戦でも守備面で着実な向上を見せるも…終盤の失点で勝利逃す

 清水エスパルスは今シーズン、J1リーグのホームゲーム4試合、ルヴァンカップの戦いも入れれば5試合でまだホームのサポーターに勝利する姿を見せることができていない。そして6試合目となった第11節の湘南ベルマーレ戦。湘南はここ5試合、上位チームのセレッソ大阪(0-0)、横浜F・マリノス(1-1)、名古屋グランパス(0-0)、サンフレッチェ広島(1-0)、ヴィッセル神戸(0-0)に対して1勝4分の失点1、4試合を無失点で抑えていた。ただ、攻撃面では3試合で無得点と「決定力」という意味では清水同様に苦しんでいるようだった。

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 清水は直近2試合の神戸戦(1-1)、ガンバ大阪戦(0-0)を引き分けているが、「我々はやりたいサッカーを表現でき、そして自信もつけてきている。その成長段階において正しい道を歩いている」と、ミゲル・アンヘル・ロティーナ監督も手応えを感じられる2試合だった。守備は安定し始め、攻撃もチャンスを作る回数は増えてきた。新しい守備の戦術がある程度選手たちに浸透し、守備意識を強く持たなくても試合の流れのなかでやれるようになったことで、攻撃へ神経を向けられるようになったのであろう。

 MF原輝綺が「試合では用意したプランを完璧に出せることは少ない。ほとんどは自分たちで見て、判断してやらなければならない。そこは個人の判断。それを発信して行動に移すことが必要」と話せば、MF中村慶太は「監督の意見も聞きながら、それがハマらなければピッチに出ている選手で変えなければいけない」と神戸戦後に話す。また、DF立田悠悟はG大阪戦後に「これまでは自分の中で迷いのあるプレーになっていた。自分の良さを出しつつ、監督の求めているサッカーを落とし込むことが整理できてきた」と選手たちの自主性がプレーに加わり、この湘南戦でもほぼ相手にチャンスを与えることなく、逆に数多くの決定機を作り出していた。

 DF奥井諒のサイドからのクロスやDFエウシーニョのボールキープからの持ち上がり。サイドハーフのMF西澤健太、MF中山克広が中へ入り込んでの中央突破。FWチアゴ・サンタナの裏抜け。そして、この試合で両チーム最多となる3本のシュートを放ったMF鈴木唯人のテクニカルなドリブルからのシュートなど攻撃は多彩だった。しかし、清水の得点は後半15分にエウシーニョのクロスをサンタナが頭で合わせた1点だけ。確かに上位チーム相手に無失点試合を重ねているだけのことがある湘南の守備はGK谷晃生を中心に堅く、こじ開けることは困難だった。それは同29分のカウンターからのサンタナのフリーでのシュートを、ゴールライン上でブロックして防いだDF石原広教のプレーに象徴された。

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下舘浩久

しもだて・ひろひさ/1964年、静岡市(旧清水市)生まれ。地元一般企業に就職、総務人事部門で勤務後、ウエブサイト「Sの極み」(清水エスパルス応援メディア)創設者の大場健司氏の急逝に伴い、2010年にフリーランスに転身。サイトを引き継ぎ、クラブに密着して選手の生の声を届けている。

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