東京五輪「金メダル水準」はアルゼンチン以下 日本が快挙へ近づくために必要なこと

骨格が見えてきた五輪チーム、OAでなければ解決できないポジションは?

 3-0と完勝した2戦目では、田中碧と板倉滉のボランチが出色で、GK谷晃生、先制点をアシストした瀬古歩夢と、左足で精度の高いキックを見せた190センチの町田樹の両センターバック(CB)、さらにはJリーグで話題を独占した三笘薫とポジションが重なる相馬勇紀や、土壇場で追加招集された林大地らが猛烈にアピール。初戦のスタメン組と合わせて、だいぶ骨格が見えてきた。

 今回フル代表でプレーし、所属のボローニャで両サイドバック(SB)もこなしている冨安健洋がもし招集可能なら、最終ラインにオーバーエイジ(OA)は不要。懸案の左SBは冨安を回すこともできるし、ユーティリティーな中山雄太や旗手怜央でも務まる。また同時期に来日したフル代表の韓国より実力で勝るアルゼンチンを下したことを踏まえても、U-24で人材豊富なCBやボランチにわざわざ年長者を加える理由はない。

 OAでなければ解決ができない役割として真っ先に浮かぶのは大迫勇也のポストワーク。さらに強靭さと攻撃力を備えた右SBの酒井宏樹、そして2列目にオプションが欲しければ鎌田大地の招集も一考の余地があるかもしれない。五輪を年齢別選手権という強化の場ではなく、話題と歴史作りと割り切るなら、3枠を使って結果に焦点を絞り、ワールドカップの予行演習に繋げる手もある。

(加部 究 / Kiwamu Kabe)



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加部 究

かべ・きわむ/1958年生まれ。大学卒業後、スポーツ新聞社に勤めるが86年メキシコW杯を観戦するために3年で退社。その後フリーランスのスポーツライターに転身し、W杯は7回現地取材した。育成年代にも造詣が深く、多くの指導者と親交が深い。指導者、選手ら約150人にロングインタビューを実施。長男は元Jリーガーの加部未蘭。最近選手主体のボトムアップ方式で部活に取り組む堀越高校サッカー部のノンフィクション『毎日の部活が高校生活一番の宝物』(竹書房)を上梓。『日本サッカー戦記~青銅の時代から新世紀へ』『サッカー通訳戦記』『それでも「美談」になる高校サッカーの非常識』(いずれもカンゼン)、『大和魂のモダンサッカー』『サッカー移民』(ともに双葉社)、『祝祭』(小学館文庫)など著書多数。

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